毎年、全日本ロードレース選手権をまわり、シャッターを切り続けるカメラマン「Nob.I」がお届けする『カメラマンから見た全日本ロード』。今回は4月1~2日に開催された第1戦もてぎです。
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ロードレースファンの皆様、いかがお過ごしでしょうか?
先のSBKオーストラリアラウンドで私は一足早くシーズン入りしていましたが、全日本ロードもついに開幕を迎えました。
皆さんとお会いでき、改めて嬉しく思います。
「あれ、今年の連載は既に始まっているの?」と思われた、私のことを知っているautosport webのコアな読者はSBK編も是非是非読んで! 【ブログ】WorldSBKとフィリップアイランドに興奮! カメラマンが異国の地で見た世界選手権とは?/第1戦オーストラリア
いつものごとくレース内容は編集部にお任せし、私の視点でお送りします。
春の陽気の中、モビリティリゾートもてぎで行われた全日本ロードは、非常に過ごしやすく桜も満開で、「春」という漢字が相応しいウイークでした。
もてぎのスタッフに「桜が一番多く咲いているのは何処ですか?」と尋ねたところ、「遊園地付近が一番映(ば)えます」と今風の回答で教えてもらえました。
桜を背景に走行を撮りたいところですが、もてぎはコースサイドに植えられていません。残念。
全日本ロードにもピットウォークやグリッドウォークのファンサービスが再開され、コロナ前の雰囲気が戻ってきています。
岡本裕生選手がヤマハファクトリーとしてこのようにサインをする姿は感慨深いものがあります。
今回の当ブログは、群雄割拠となっているST1000に注目します。
もてぎでのトップ5+αを、カメラマン目線での印象を交えてご紹介しましょう。
まずは、優勝した國峰啄磨選手(TOHO Racing)。
昨シーズンも何度か触れた國峰啄磨選手ですが、2022年は渡辺一馬選手(後述)とチャンピオン争いを繰り広げました。
今シーズンは開幕戦から飛ばしています。
うれし泣きが印象的な若人で、何となく応援したくなるそのキャラクター。
2023年は初王座なるか?
2位は國井勇輝選手(SDG Motor Sports RT HARC-PRO.)。
Moto3で戦っていましたが、昨年から全日本ロードへ復帰してST600に参戦していました。
ランキング8位と苦しんでいましたが、スイッチ後の初レースで全日本初表彰台。
ST1000は向いているのでしょうか?
レンズを向けると笑顔で応えてくれるため、個人的には好印象。
今シーズンは世界を戦ってきたその実力を発揮してくれそうです。
3位は渡辺一馬選手(Astemo HondaDream SI Racing)。
2021年・2022年とST1000を2連覇した、2023年チャンピオンの最有力候補。
優男で、良い意味でチャンピオンらしくなく、走行前後のギャップが印象的。
かっこいいルーティーンもあり、個人的にはフォトジェニックな選手。
尚、2013年ST600のチャンピオンでもあります。
4位は高橋裕紀選手(JAPAN POST HondaDream TP)。
全日本ロードで「優男」クラスがあったら間違いなくぶっちぎりで優勝でしょう。
厳しい表情の記憶がほとんどありません。
2020年ST1000チャンピオン。
また、2014年・2015年J-GP2チャンピオンでもあり、MotoGP、Moto2にも参戦経験有。
ワケあって個人的には思い入れのある選手。心の中で応援。
5位 高橋巧選手(JAPAN POST HondaDream TP)
上記、高橋裕紀選手と同じチームであり、W高橋で臨むJAPAN POST HondaDream TP。
ヘルメットも似ているので判別し辛く、レース時の順位も近かったので「どっちがどっちやねん!」と個人的には困ってしまった。
2017年JSB1000チャンピオン。
鈴鹿サーキットの驚異的なコースレコードは未だに破られていません。2分03秒874(2019年)
修行僧のような独特の雰囲気をまとっており、レンズを向けにくい。
SBK、BSBでの経験を活かせるか?
ここに中排気量クラスの全日本チャンピオンが続きます。
榎戸育寛選手(SDG Motor Sports RT HARC-PRO.)。
2016年ST600チャンピオン。
地方選手権参戦時から撮影しているため、「大きくなったなぁ~」という印象です。
当時は眼鏡をかけていましたが、近年コントタクトにしてからぐっと大人っぽくなりました。
2022年ST600チャンピオン。
昨シーズンでのブログでも取り上げた、甘いマスクが印象的な21歳。
今シーズンのMOTOBUM HONDAはカラーリングに赤ラインが入り、かなりカッコよくなりました。
ちなみに、先に紹介した榎戸育寛選手のST600チャンピオン獲得時のチームはMOTOBUM HONDAです。
2018年ST600チャンピオン
クラスではヤマハトップ。彼も大人っぽくなりました。
ホンダが上位を占めるST1000で、岡本裕生選手以来、一矢報えるか?
岩戸亮介選手(Kawasaki Plaza Racing Team)。
2018年J-GP2チャンピオン。
クラスではカワサキトップ。
全日本ロードに「イケメン」クラスがあったら間違いなく優勝候補です。
今シーズンはEWCル・マン24時間とスパ24時間にも第4ライダーで参戦。
全日本ロード各クラスのチャンピオン経験者が集うST1000ですが、その猛者達を抑えて無冠のふたりがトップ争いを演じました。
ST1000にはタレントが揃いすぎていませんか?
今シーズンはこのクラスが猛烈におもしろくなりそうです。
さてさて、今年もありました恒例の全車撮り。
ぢつは、昨年の全車撮り公開のあとに編集部からアドバイスがあり、今年は開幕早々そのリベンジに燃えていたのでした。
「どうすれば要望に応えられるんだぁ?」と開幕戦前から悶々としていましたが、いざ始まるとレンズを振る撮影マシーンと化し、「あの車両は撮ったか?」とチェックもひとりで行う孤独で多忙な撮影でした。
今回はいかがでしょう編集部? その結果はコチラ。
2023全日本ロードレース選手権第1戦もてぎ JSB1000 全車総覧
JSB1000クラスは中須賀克行選手(YAMAHA FACTORY RACING TEAM)が危なげなく2連勝を飾り、その連勝記録を25まで伸ばしました。
本人曰く「いつかは負ける日が来る」とコメントしていましたが、そんな日が来るとは思えない圧倒的な強さがあります。
いちカメラマンとして、「その決定的な瞬間」を撮ってみたいものです。
勝利者には副賞として栃木県産の米1俵が贈られ、個人的にはこの瞬間が一番嬉しそうに感じました。(2勝のため2俵)。
物価高の昨今、中須賀家は嬉しいでしょう。
余談ですが、40歳を超えても未だに進化を続ける鉄人、中須賀克行選手の食事事情も気になります。
JSB1000も、「打倒中須賀克行」を目標に若手が台頭しています。
BSBから復帰した水野涼選手(Astemo HondaDream SI Racing)への注目は言うまでもありません。
イケメン具合は岩戸亮介選手に負けていません。
レース1ではマシントラブルでリタイアしてしまいましたが、レース2では一時トップを走り、その実力は証明済み。
尚、2015年J-GP3・2017年J-GP2チャンピオン
名越哲平選手(SDG Motor Sports RT HARC-PRO.)
レース1・2ともに3位。ホンダ最上位。
2019年、最後のJ-GP2チャンピオン
昨年は怪我の影響で苦しいシーズンでしたたが、今年は期待。
もちろん、この選手も忘れてはなりません。
岡本裕生選手(YAMAHA FACTORY RACING TEAM 2)
昨シーズン3位となった私の推し、岡本裕生選手。
「優男」クラスでは高橋裕紀選手に引けを取らないでしょう。
尚、2018年・2020年ST600チャンピオン。
今シーズンこそ、彼が「決定的な瞬間」を起こしてくれるのではないかと期待しています。
ST1000だけでなく、JSB1000もチャンピオン揃いです。
そのJSB1000は今シーズンから「カーボンニュートラル燃料」に変わりました。
モータースポーツを持続的に行う、未来の燃料となるのでしょうか?
これまでの化石燃料とのフィーリングの違いも気になります。
いかがでしたでしょうか?
選手の印象はメディアという媒体を通す関係上、なかなか伝わりにくいです。
数年カメラマンをさせてもらっていますが、ふとした瞬間に「この選手ってこういう一面もあるんだ」と未だに驚くことがあります。
JSB1000は選手も含めて「新時代」となっており、機会があったら取材なく選手と話をして色々質問してみたいなぁとも思う今日この頃です。
次回鈴鹿2&4もお楽しみに!