メルセデスAMG自らが「サーキットを走るために生まれた公道走行可能なレーシングモデル」とうたう、史上最強のロードゴーイングモデルであり、これまで数々の実績を残してきたAMG GT3のノウハウを盛り込んだ『メルセデスAMG GT R』が日本上陸。完全受注生産モデルとして、6月27日より発売が開始された。
この『メルセデスAMG GT R』は、AMG GTをベースにGT3の技術をあますところなく投入。専用に新開発されたM178型AMG4.0リッターV8直噴ツインターボエンジンは、組み合わされる7速デュアルクラッチ式トランスミッションのAMGスピードシフトDCTと合わせて、徹底した軽量化やドライサンプ潤滑システムによる低重心化を実施。
また2基のターボチャージャーをV8エンジンのVバンク内側に配置する“ホットインサイドV”レイアウトがもたらすコンパクト化と、吸排気経路の最適化により最高出力585PS、最大トルク700Nmのパワーを発生させるなど、メルセデスAMGが持つテクノロジーがすべて詰め込まれた。
一方のシャシーも、アルミニウムを中心とする素材を適材適所に配置することで、軽量でありながら非常に高い強度を実現したアルミニウムスペースフレームを採用。
さらにフロントミッドシップエンジンとトランスアクスルレイアウトのトランスミッションにより、理想的な48:52の前後重量配分を実現している。
そして最大のハイライトとなるのが、市販車では例外的なほどに高められたエアロダイナミクス性能。
クロームメッキ処理が施された15本の垂直フィンが目を引くフロントグリルは、新たに“AMGパナメリカーナグリル”と呼ぶ新デザインを採用。1952年にメキシコで開催された伝説の公道レース、カレラ・パナメリカーナ・メヒコで優勝したレーシングカー『メルセデス・ベンツ 300 SL』に由来し、AMGの量産車としては初採用となる。
そのフロア面には新開発の“アクティブ・エアロダイナミクス・システム”も装備され、エンジン前方のアンダーボディにほとんど見えない形で隠れているカーボンファイバー製の重量わずか約2kgのウイングが、RACEモードで80km/hに達すると約40mm自動で下降。ベンチュリ効果を生み出すことで、フロントアクスル揚力を250km/h時で約40kg低減する。
システム作動時はフロントエンドのラジエターエアアウトレットが開き、気流をダブルリヤディフューザーへ向けて正確に導きリヤの空力を向上させるとともに、ブレーキやトランスミッションの冷却性能も助けるなど、空力効果を最大限に活用。また、損傷を防ぐため容易に上方へたわむようスプリングマウントを採用するなど、細かな配慮もなされている。