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クルマ ニュース

投稿日: 2017.09.05 11:19
更新日: 2017.09.05 16:43

「乗るべしスーパーカー」発売記念連載02『フェラーリF40』

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クルマ | 「乗るべしスーパーカー」発売記念連載02『フェラーリF40』

 9月5日に発売となる「乗るべしスーパーカー」の発刊を記念して、この本の主役である気鋭のフォトグラファー・悠佑氏が切り取った珠玉の写真たちと、オーナーとスーパーカーのライフストーリーをご紹介。第2回は『フェラーリF40』だ。

●Car Details Ferrari F40
Text:Akira YOKOTA

 フェラーリの創業40周年記念モデルとしてF40が登場したのは、1987年のこと。エンツォ・フェラーリが開発を命じた最後のモデルとされ、マラネロで開催された発表会では当時89歳のエンツォ自身がプレゼンテーションをしている。ストックのままレースに参戦できる高性能車という、フェラーリの創業当時の思想を体現した作りは、レーシングカーに最低限の保安部品をつけたようなもの。日本での販売価格は4650万円にもかかわらず、エアコンこそ装備されるものの、内装や遮音材は最低限でしかない。リヤミッドに積む2936ccのV8ツインターボは478PSを発揮し、5速MTを介しての最高速は公称324km/hと、史上初めて時速200マイル以上を謳う市販車となった。

●Owner’s Story フロントの飛び石傷が物語る、信頼関係のもと“踏んできた”証
A氏/Text:Shinnosuke OHTA

「陳腐な話ですが、クルマの形を見て初めてカッコイイと思ったのがF40。あとはコブラ、ディアブロ、マクラーレンF1。この辺りのクルマたちが心に響いた」

 そう語るオーナーA氏の跳ね馬は、92年式のF40。生産履歴としては後半の時期ではあるものの、最終型ではない。もちろん、同氏はこれまでも数多くのフェラーリを乗り継いできたが、なかでもこのF40は、89、90、92、93年式とドライビングの経験があり、その個性やキャラクター、フェラーリ自身の考え方の変化まで体感してきた思い入れのあるモデルだ。

「92年モデルは重い。だからドシっとして乗りやすい部分がある。前期は軽くてターボの効き方も違うし、後期はその辺を微調整している。これはフェラーリだけでなく(マクラーレンとメルセデスが共同開発した)SLRもそうで、前期のクーペはマクラーレンのセッティング。飛ばすと轍にハンドルを取られて、車線一個分車体が飛んでいく。後期のロードスターはメルセデスのセッティングで完全にベンツ。そういう違いは公にはならないけど、確実に存在する。僕はそうした違いが気になると、とことん調べたいタイプ」

 そんなA氏が免許を取って最初に乗った1台が、993型のポルシェ・カレラ。それまでクルマにまるで興味のなかった青年は「なんでこんなに思い通りに動くんだろう」という衝撃を覚えたと同時に、「こっちはクルマのこと何にも知らないから、とにかく『右前が変だ』とは感じ続けていた」という。

知人から入手し事故歴ナシだという触れ込みだった993は、売却後に右前の修復歴があったことが判明。その鋭敏なセンサーはその後F40でも遺憾なく発揮され、年式による味付けも車の重さも、塗装の厚さも、リヤのフレームも、細かく違いが存在するという眼前たる事実を知ることとなった。

「F40は全然怖くない。よく雑誌では『雨に日に乗るのは危ない』とか『ターボラグが大きい』なんて書かれてますが、(フェラーリ360)モデナの方が危ないくらい。後ろがちょろちょろ動いて安定しないし、市街地でもサーキットでもF40を危ないと思ったことは今まで一回もない。台風の中、ハイドロプレーンになった時ですらコントロールできない感じではなかったから、みんなが何を怖いって言ってるのか分からなかった」


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