オートスポーツwebの試乗企画第5回。今回はトヨタのコンパクトカー、Vitz(ヴィッツ)のGR SPORT“GR”グレード(以下、ヴィッツGR)に試乗した。2017年の9月に誕生したトヨタの新スポーツカーシリーズ『GR』が放つヴィッツGRはどんな乗り味なのか。峠道でその走りを体感してきた。
これまでトヨタはスポーティなコンプリートカーブランドとして『G Sports(G’s)』を展開してきたが、2017年からはWEC世界耐久選手権やWRC世界ラリー選手権へ参戦する際に使用している『GAZOO Racing』の頭文字である『GR』ブランドへ刷新した。
このGRブランドでは、エンジン内部までチューンした究極のスポーツモデル『GRMN』を頂点に、本格スポーツモデルの『GR』、エントリースポーツモデルの『GR SPORT』の3モデルが展開されている。今回試乗したヴィッツGRは、本格スポーツモデルの位置に属する。
コンパクトカーの代名詞とも呼べるヴィッツが、ヴィッツGRでどこまで本格スポーツカーへ変貌しているのか。その走りを体感すべく、今回は山梨県の山中湖近郊の峠道に向かった。
走りの前に、まずは外観をチェックしていこう。ヴィッツGRには専用のエアロパーツがふんだんに盛り込まれている。フロント周りでは空力を考慮する形でバンパーやリップスポイラーが備えられたほか、ヘッドランプ周りも鋭さを感じるデザインに仕上げられている。
リヤ周りもブラックカラーの大型ディフューザーなどが備えられたほか、コンパクトながら存在感を放つリヤルーフスポイラーも特徴的だ。
足元を支えるタイヤはブリヂストンのハイグリップタイヤ、POTENZA(ポテンザ)RE050Aを標準装備。タイヤサイズは205/45R17で通常グレードより1インチアップしており、見た目とパフォーマンスの両面でスポーティさを引き立てている。
室内はカーボン調の装飾やアルミパーツが多く盛り込まれ、スポーツカーとしての上質感が増している印象を受ける。トランスミッションは、CVT(自動無段変速機)車と5速マニュアル車が設定されている。今回、試乗したのはCVT車で、こちらには10速スポーツシーケンシャルシフトのマニュアルモードが備えられている。
さっそくコクピットに乗り込み、いざ試乗。専用のスポーティーシートは座り心地も良く、体をしっかりと支えてくれる。搭載エンジンは、1NZ-FE型の1.5リッター直列4気筒。最大出力は通常グレードよりも10馬力多い109馬力(80kW)で、最大トルクは136N・m(13.9kgf・m)を発揮する。エンジン音は比較的おとなしいが、高回転域ではスポーツカーらしいサウンドを奏でる。
まずは峠へ向かう一般道でのフィーリング。サスペンションはGR専用チューニングのSACHS(ザックス)製アブソーバーを装備していることもあり、足は硬め。しかし、不快な突き上げは感じず、毎日乗っていても苦にはならないだろう。高速道路での巡航中は、硬めの足が安定感を生むため、スムーズに走ることができた。