話題の新車や最新技術を試乗する『autosport web的、実践インプレッション』企画。第1回はニッサン・スカイラインを取り上げます。最大の注目は、あの“YAZAWA”も驚いた自動運転系の技術の最新バージョンが搭載されていること。実際にハンドルを離して走ったときの状況をレポートします。
お届けするのは、クルマの好事家、モータージャーナリストの佐野弘宗さん。“技術”で勝負するニッサンの底力に迫ります。
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最近なにかと話題のニッサンが、他社以上に強い思い入れをもって手がけているのが自動運転系の技術(ニッサンでの商品名はプロパイロット)である。
2019年7月にマイナーチェンジを実施した13代目スカイラインは、あの“E.YAZAWA”がステアリングから手を離しているテレビCMからも分かるように、ハンズオフ運転(高速道路の同一車線内のみ)を実現した『プロパイロット2.0』の搭載が最大のニュースである。
⋯⋯とはいえ、国内初のハンズオフ運転は、タッチの差でBMWが先んじてしまった。
ただ、プロパイロット2.0(スカイラインではハイブリッド車のみに標準装備)最大のキモは、じつはハンズオフ運転ではない。
ナビに目的地をセットしたルート案内で高速道路を走るときに、プロパイロット2.0はジャンクション(JCT)やインターチェンジ(IC)における分岐・合流も、(そこではさすがにハンズオフ運転は許されないが)クルマが積極的にドライバーを導くように走っていく。
これはBMWにも備わらない機能であり、ただの(?)ハンズオフ運転や既存のレーンキープ走行とは別格の“自動運転感”は感動的ですらある。
それを可能としているのが、日本全国の高速道路ほぼすべての道路形状や傾斜、分岐構造などを網羅した『高精度3Dマップ』である。高精度3Dマップそのものはクルマ業界全体の共有財産だが、プロパイロット2.0はそれを活用した初めての市販システムである。