モータースポーツ専門誌のauto sport本誌では現在、スポーツカーをはじめ、ホットハッチ、セダン、スポーツクーペなどあらゆる市販ロードカーを“ぶった切る”ピリ辛・市販車インプレッションを不定期連載している。同企画に登場するのは、モータースポーツの中でも、いわゆる“箱車レース”と呼ばれるカテゴリーにおいて、レーシングマシンのベースとなるロードカーたちだ。
今回はそんな『ベースマシン一刀両断!!』シリーズの第5回目、トヨタ・マークX GRスポーツ編をお届けする。
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年内の生産終了が噂されるトヨタ・マークX。事実上の後継はカムリとなるため、トヨタにおけるFRスポーツセダンの系譜は途絶えることになる。
白いマークIIが街中にあふれていたのは、1980年代後半のバブル期。いまでは死語となったハイソカー(ハイソサエティカー)のもっとも手軽なモデルとして高い人気を得て、クレスタとチェイサーの兄弟3車種は合計で月間2万5000台という驚異的な販売台数を誇った。
しかし、その後のセダンマーケットの大幅な縮小もあって、兄弟車は消滅。マークIIも車名をマークXへと変えて、2004年に再デビューしたのだった。
マークXとなってからは、クラウンとプラットフォームを共有。マークXの無理に大きく見せないスタイリングは上品で、スポーティな雰囲気も持ち合わせた。
しかし、兄弟車ながら最強のライバルとなったゼロ・クラウンは、チョイ悪風の『アスリート』を設定。低くまとまった外見だけでなく、シートやステアリングもマークXのほうがスポーティに仕上がっていたのだが、それでも派手なクラウンの影に隠れてしまい、マークXは次第に存在感を喪失していく。
現行モデルへのフルモデルチェンジは2009年と、すでに10年が経過しようとしている。
そして、その歴史の最期を飾るかのように、マークX GRスポーツが2018年に登場。GAZOO Racingのコンプリートカーブランド『GRMN』とは異なり、パワートレインに手は入っていないが、走りを磨いたエボリューションモデルだ。