驚くべき速さと、目を見張る美しさ。スーパースポーツカーは、このふたつの要素を兼ね備えた特別な存在だ。『オートスポーツweb 最新スーパースポーツカー試乗レポート』では、クルマ好きなら誰もが憧れる数々の至高のマシンの中から注目の1台をピックアップして、その走りの印象を伝えていきます。
ハンドルを握るのは、モータージャーナリストの吉田拓生さん。第5回目は、『ランボルギーニ・ウラカンEVO』を取り上げます。
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■佇む姿も排気音も、すべてが凡百のクルマとは違うスーパースポーツ
実はドアが上方向ではなく横方向に開くのだが、それでももう、どこからどう見てもランボルギーニなのである。現在のランボルギーニは、ベーシックな『ウラカン』と、旗艦の『アヴェンタドール』、そしてSUVの『ウルス』というラインアップが揃っている。
今回、試乗レポートをお届けする『ウラカンEVO』は、2014年にデビューした『ウラカン』のモデルライフ半ばのマイナーチェンジ版のような意味合いを持っている。
マイナーチェンジを人知れずシレ~っと行うか、「EVO!」と銘打ってアピールするか、そこはブランドの気質のようなもの。ランボルギーニともなれば、スーパーカーを代表するブランドなので、そりゃあ大きく出て当然なのである。
ではランボルギーニはどこがどうスーパーなのか? それはもう、そのすべてである。V型10気筒エンジンを呼び覚ますスターターボタンは、ミサイルの発射スイッチよろしくガードが付いているので、押すためにはそのガードを跳ね上げてから行う。
そんな所作の逐一に、凡百のクルマとは違うスーパー感が込められている。スタート直後の排気音は、周囲の人をいっせいに振り向かせるくらい盛大だが、それを咎める人はいない。赤ちゃんが所かまわず泣くように、スーパーカーとは吠えて当然なクルマなのである。
とはいえ現代のランボルギーニは、昨日AT免許を取得した初心者ドライバーでも運転できる部分がミソだ。
昔の『カウンタック』のように重いクラッチも存在しないし、着座位置が低すぎて視界不良、ステアリングが遠すぎる、といった妙な癖もない。
コーナーセンサーやバックカメラといった運転支援装備も充実しているので、前後バンパースポイラーの低ささえ頭に入れておけば、普通に運転できてしまう。