市販車の最新ニュースや購入ガイドなどをオートスポーツwebならではの視点で掘り下げる『オートスポーツweb市販車深掘り企画』。今回は、国産ステーションワゴンの代表モデル、スバル・レヴォーグを取り上げます。
2014年に登場した初代レヴォーグはサイズ、デザイン、走りや装備まで全方位で支持を集め、国産ステーションワゴンで唯一の“勝ち組”といえる1台へ成長しました。その成功をもとに、2020年秋に2代目となった新型レヴォーグの“凄さ”を深掘りします。
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■著名モデル『レガシィ』からバトンが渡された新しいスポーツワゴンの登場
1990年代から2000年代にかけて、圧倒的な人気を誇っていたステーションワゴン。なかでもスバル・レガシィツーリングワゴンの人気はピカイチで、多くのファンを持つ“勝ち組”モデルとして君臨していた。
その後、レガシィは世界戦略車に成長したことでボディサイズが拡大され、これまでレガシィを支えていた国内のオーナーの趣向とは少々異なるモデルになってしまった。
そこで、高性能かつスポーティなワゴンを求める従来のレガシィユーザーを救済するために生まれたのが、いまやこのカテゴリーで人気を独走しているレヴォーグだ。
初代レヴォーグは2014年に大きくなりすぎたレガシィを補完するために登場、佳き時代のレガシィツーリングワゴンを現代流にリファインしたようなモデルだ。
スバル伝統のシンメトリカルAWDに加えて、1.6リッターターボの170ps仕様と2.0リッターターボの300ps仕様の2タイプを設定。ボディサイズは5代目レガシィより小ぶりに設計されるなど、“日本の高性能ワゴン”という魅力を前面に押し出していた。
一世代、もしくは二世代もの間、レガシィの再来を待ち侘びていたユーザーが多かったこともあって、初代レヴォーグはデビュー直後から販売も好調に推移。ミドルクラスの国産ステーションワゴンの中では、ひとり勝ちとも言っていいほどの独走状態だった。
■新型は“日本の高性能ワゴン”をキープしながら走行面が劇的に進化
その初代モデル(先代)の大成功を引き継いで登場したのが、2020年秋に登場した2代目レヴォーグだ。エクステリアのイメージはキープコンセプト路線を採用したため、見た目の印象は大きくは変わらないが、クルマの中身は完全に別物。特に走行メカニズムは大きな進化を遂げている。
注目したいのは、シャシー性能が大幅に向上したこと。SGPと名付けられた新世代プラットフォームに、骨格を組み立ててから外板パネルを溶接するインナーフレーム構造の組み合わせで、ボディ剛性が大きく向上している。これにより走行時の安定感やキャビンの静粛性は、先代よりも1枚上手の印象を受ける。
乗り心地の変化も大きなポイント。先代のサスチューンはハード志向で、コーナー時の確かな挙動は頼もしい限りだったが、お世辞にも乗り心地が良いとはいえなかった。
ところが現行レヴォーグは頼もしい挙動はそのままに、路面から伝わる当たりが劇的に改善している。スタンダードなバネサス仕様も、電子制御サス仕様も、基本的には硬めの味付けだが、路面の凹凸は上手にいなしてくれて、ことさら硬さを感じさせない。ロングドライブでも運転疲れを感じにくい、洗練された乗り心地を手に入れている。
パワーユニットも刷新された。先代は1.6リッターターボ(170ps/250Nm)と2.0リッターターボ(300ps/400Nm)というふたつの水平対向4気筒エンジン車を設定していたが、現行レヴォーグは新開発のCB18と名付けられた1.8リッターターボ(177ps/300Nm)に一本化されている。
トランスミッションはリニアトロニックの改良型だが、 約8割の部品を変更し、変速比幅も約30%拡大している。その相乗効果もあって、今風のダウンサイジングターボらしい低中速域からアクセル即応性に優れた特性を示す。
先代の2.0リッターターボ車のような圧倒的な加速感を楽しむタイプではないが、1.6リッターターボ車よりも、幅広い速度域で扱いやすくなっている。
スバル車の弱点である燃費に関しても、ゆったりと回していく乗り方ならば、WLTC総合燃費(13.6〜13.7km/L)に近い数字は期待できるほど改善された。
ただ、軽快に吹き上がる特性は健在なので、回してしまった時の燃費の落ち込みはやや大きめ。痛し痒しのジレンマを感じてしまう人も多いかもしれない。
装備機能の大幅強化も見逃せない。通信連携対応のインフォテインメント機能や、インテリアの質感の向上が図られたほか、スバルの代名詞『アイサイト』も大きくパワーアップしている。
センシング方式は、ステレオカメラ+ミリ派レーダー併用タイプとなり、人やクルマなどの障害物の検知能力が大幅に強化された。高速走行時の運転支援機能も、より高度な操舵支援と渋滞時ハンズオフ走行まで可能な『アイサイトX』にも対応した。
最新の国産モデルは、運転支援機能が充実していることが当たり前だが、現行レヴォーグの運転支援機能は、国産モデル全体の中でもトップクラスの実力を持つ。
先代のアイサイトにも操舵支援まで対応するツーリングアシストは備わっていたが、現行レヴォーグは機能面はもとより、作動時の制御の安定感も明らかに上だ。
装備機能や内装加飾がひとクラス高まったこともあって、先代に比べると現行レヴォーグの車両価格帯は少し上がってしまったが、それに見合うだけの進化ぶりは大変魅力的なものだ。