フェラーリは11月27日、モンテカルロで開催されたグランツーリスモ・ワールドファイナルにおいて、マラネッロ初のバーチャル専用モータースポーツ・コンセプトカーとなる『フェラーリ・ビジョン・グランツーリスモ』を初披露した。
グランツーリスモの世界に初登場する、イタリアが誇る名門ブランドのマシンは、未来的なビジュアルをまといながら同時に1960~70年代のフェラーリ・スポーツプロトタイプを想起させるレーシング・コンセプトモデルだ。
このクローズドボディ・シングルシーターの側面に描かれた「75」という数字は、フェラーリの75周年を記念するものであり、同モデルの発表はフェラーリにとって節目となった2022年を締めくくる特別な機会となった。
バーチャル環境における同ブランドの重要なステップに位置づけられている『フェラーリ・ビジョン・グランツーリスモ』のデザイン設計は、フラビオ・マンゾーニ率いるフェラーリ・スタイリング・センターが担当。ル・マン24時間やデイトナ24時間レースで大成功を収めた伝説的なフェラーリのスポーツプロトタイプからインスピレーションを受けているという。
そのデザインは、スピードを体現するフォルムが中心に据えられ、シャープで鋭角的なラインが特長に。これに先進的なエアロダイナミクスの要素が組み合わされている。フェラーリが特許を取得しているサイドダクト・ソリューションや、フロントのSダクト、2023年のWEC世界耐久選手権に登場する『フェラーリ499P』を思わせる2段構造のリヤウイングなどがこれにあたる。
パワートレインの中枢であるエンジンはバンク角120度の3.0リットルV6ツインターボで、新型GTカーの『フェラーリ296 GT3』とそのベースモデルである『296 GTB』、『296 GTS』、そしてWECハイパーカー『499P』とアーキテクチャーを共有する。しかし、新登場のバーチャル・コンセプトにおいてはレギュレーションによる制限がないため、これを大幅にチューンアップし最大出力は1030PSまで高められた。
また、フェラーリ・ビジョン・グランツーリスモではエンジンに加えてリヤアクスルに1基、左右フロントに2基の電気モーターを搭載し、全輪を駆動させる3モーターハイブリッドを成立させている。なお、MGUの出力は240kW(326PS)とアナウンスされた。
もちろん、同モデルのハイブリッド・テクノロジーにはF1で培われた電気ブーストと回生エネルギーに関する戦略が活かされており予選、決勝を問わず、それぞれの条件下で最大限のパフォーマンスを発揮することが可能だ。また、最大トルク1100Nmに対応する足回り、コーナーで比類のない敏捷性を実現するハンドリング・バランスも備わっているという。