レースを愛してやまないファンの方々へ
autosport web Premiumが登場。

詳細を見る

国内レース他 ニュース

投稿日: 2020.09.07 15:00
更新日: 2020.09.07 16:43

初の総合優勝を獲得した高木真一「雨寄りのセッティングしかできなかったことが逆に良かった」【スーパー耐久第1戦富士24時間】

レースを愛してやまないファンの方々へ
autosport web Premiumが登場。

詳細を見る


国内レース他 | 初の総合優勝を獲得した高木真一「雨寄りのセッティングしかできなかったことが逆に良かった」【スーパー耐久第1戦富士24時間】

「24時間レースというのは、十勝24時間にはARTAから出ていましたし、去年も途中までトップ争いしていましたが、総合優勝というのは50歳にして初ですね!」

 9月5日から6日にかけて富士スピードウェイにおいて開催されたピレリ・スーパー耐久シリーズ2020第1戦『NAPAC 富士 SUPER TEC 24時間レース』。山脇大輔、ショウン・トン、根本悠生とともにHIRIX GOOD DAY RACING AMG GT3のステアリングを握り、チームの主要ドライバーとして総合優勝を支えた高木真一に、24時間の戦いについて話を聞いた。

「このクルマに乗らないかという話をいただいたのは7月中旬だったかな? 当初予定していたミュラーが新型コロナウイルスの影響で来日できなくなったので呼ばれました。それで7月のテストで初めてメルセデスAMG GT3に初めて乗ったわけです」

 2020年シーズンからスーパー耐久シリーズに参戦を開始したMercedes-AMGTeam HIRIX。当初は山脇とトン、台湾出身の女性ドライバーのベティー・チェン、メルセデスAMGパフォーマンスドライバーのディルク・ミューラーの4名での参戦を計画していた。

 しかし、新型コロナウイルスの感染拡大の影響を受けて、チェンとミューラーの来日が叶わず。代わりに、今年ランボルギーニ・スクアドラコルセGT3ジュニアプログラムに選出された根本、そして昨年も富士24時間をST-Xクラスで戦った高木がチームに加わることとなった。

「メルセデスはスーパーGTでもライバルなのですごく興味はあって、ピレリタイヤとのマッチングもすごく楽しみでした。でも不幸な事に僕はテストではハーフウェットでしか乗れなかったので、ドライで乗った山脇選手やショウンらのコメントを聞いてエンジニアの加藤博さんとセッティングを探っていきました。正直、このクルマの性格がつかめなくて、今まで乗ったクルマで一番怖いクルマと思ったほどでした。4人のうち誰一人としてレースでこのメルセデスAMG GT3をドライブしたことはありませんでしたし」と高木。

「それでも若いドライバーのコメントを大事にしながら、加藤さんも僕の意見を的確に入れてセット出しをしていきましたが、レースウイークも晴れたり雨だったりのコンディションの中、良くクルマを仕上げてくれたと思います。というか、雨寄りのセッティングしかできなかったことが逆に良かったのかもしれません。決勝レースもそんなコンディションでしたから」

 新型コロナウイルスの感染拡大の影響でAMGのスタッフが現地入りできない状況のなかでデビューレースを迎えたMercedes-AMGTeam HIRIXだったが、マニュファクチャラーのAMGのカスタマーサポートにも助けられたと高木は話す。

「メルセデスはスーパーGTでも強力なライバルですし、高いポテンシャルを持っていることは十分に理解していましたが、このクルマのことを理解しているドライバーやスタッフは誰もいなかったんです。でもカスタマーサービスがしっかりしていました。リモートでオーストラリア常駐のAMGスタッフがスタビライザーやウイングなどについていろんなアドバイスをくれました。自分たちはウイングの角度をつけてもっとダウンフォースを稼ぎたかったけれど、それではダメなので他のことで対処しろ、とかですね」

 9月4日に行われた公式予選では山脇と高木のアタックで3番手を獲得。スタートは高木が担当し、3番手のポジションを守ったまま41周を走り、山脇にドライバー交代した。その後、山脇が38周を走り、給油と根本へのドライバー交代を行うためピットに入った際、給油システムを支えるホースの接合部分が外れ、噴出した燃料がエギゾーストに触れてマシンが出火するアクシデントに見舞われた。

「正直レースは、運が良く表彰台の末席に滑り込めればいいなという感じで優勝なんて全く予想していませんでした。僕が休憩中にガソリンに引火するというすごいことも起きましたしね。でも車両的にはゼッケン用照明のハーネスがダメになっただけで、ガレージでその交換をしていたんですが、直後にレースは赤旗中断になって。実質ロスタイムって3〜4周分ぐらいだったんです。そこから流れが変わりました」

ピット作業中に出火したHIRIX GOOD DAY RACING AMG GT3
ピット作業中に出火したHIRIX GOOD DAY RACING AMG GT3
ゼッケンを張り替えてレース再開を待つHIRIX GOOD DAY RACING AMG GT3
ゼッケンを張り替えてレース再開を待つHIRIX GOOD DAY RACING AMG GT3

「レース再開後はドライバー交代時の天候の変化がピッタリと一致して、その時点でのコースコンディションに合ったタイヤを履くことができました。もちろん加藤さんもそこはちゃんと計算していたんですが、彼の戦略がなければ優勝はできませんでした。ドライバーもちょっと追突してフロントグリルを壊しちゃった程度で済んだし。まぁ24時間レースなので気をつけていても小さいアクシデントはどうしても起こります。でもあの程度で済んだのは幸いでした」

 終盤フロントグリルを破損するトラブルもあったものの、最終スティントを担当した根本のドライブにより、HIRIX GOOD DAY RACING AMG GT3は過酷な24時間レースのトップチェッカーを受けた。Mercedes-AMGTeam HIRIXはチームのデビューレースである富士24時間の総合優勝を獲得するという、新チームにとってこれ以上ない形でスーパー耐久シリーズ初戦を終えた。

「天気が味方をしてくれたというのはとても大きかったです。ドライセッティングなんて全然決まっていませんでしたからね。でもスーパーGTでも今年はそうですが、自分の子どもみたいな若いドライバーと一緒になって、レースを走れるというのは夢があって良いですね。特に耐久レースは自分の経験を若手に伝えられるし。若手もそれを次の世代に伝えていって欲しいです」

 富士24時間レースの翌週、9月12日〜13日にはツインリンクもてぎで開催されるスーパーGT第4戦『FUJIMAKI GROUP MOTEGI GT 300km RACE』に参戦する高木。

「来週はスーパーGTもてぎ? ホンダNSX GT3はブレーキ踏むのが大変で足が痛くなるんですけど、今週のレースではその一番のトレーニングができたので良かったのかな?(笑) スーパーGTでも優勝を狙います!」

HIRIX GOOD DAY RACING AMG GT3
HIRIX GOOD DAY RACING AMG GT3
総合優勝を果たしたHIRIX GOOD DAY RACING AMG GT3(山脇大輔/高木真一/ショウン・トン/根本悠生)
総合優勝を果たしたHIRIX GOOD DAY RACING AMG GT3(山脇大輔/高木真一/ショウン・トン/根本悠生)
総合優勝を果たしたHIRIX GOOD DAY RACING AMG GT3(山脇大輔/高木真一/ショウン・トン/根本悠生)
総合優勝を果たしたHIRIX GOOD DAY RACING AMG GT3(山脇大輔/高木真一/ショウン・トン/根本悠生)


関連のニュース