オシャレで愛らしい見た目とのギャップに視線くぎづけ。ワンメイクレースならではの熱いバトルが注目の『MINI CHALLENGE JAPAN(MCJP)』は、全5ラウンドのうち3ラウンドを終え2020シーズンの折り返しを迎えた。
残すところ2ラウンド。『ラウンド4』(第7戦/第8戦)は2020年10月18日(日)に岡山国際サーキットにて、そして『ラウンド5』(第9戦/第10戦)が2020年12月13日(日)に富士スピードウェイにて行われる。
■コラム
■MINI CHALLENGE JAPANを進化させた『クーパーSクラス』のマシンにフォーカス
『MINI CHALLENGE JAPAN』は今季から『JCWクラス』と『クーパーSクラス』の2クラス混走のレースとなった。現在の『JCWクラス』は、万全の体制でフル参戦するバースレーシングプロジェクト【BRP】の松本武士選手が強さを見せつけ、シリーズチャンピオンに最も近い位置につけている。
一方の『クーパーSクラス』は大混戦。参戦するドライバーも、そして見る側もエキサイティングなレースが続いている。
より参加しやすい『クーパーSクラス』の新設は、MCJPを大きく変えた。2019年まではイギリスで開発されたワンメイク専用マシンの“チャレンジカー”による戦いだった。
ワイドボディキットをはじめ専用パーツを数多く採用し、トランスミッションは6速シーケンシャル、タイヤはスリックと本格競技車両による激しいバトルは迫力満点で、MINIのハイパフォーマンスをファンの心に強く印象づけてくれた。
そんなMCJPの魅力はそのままに、より幅広くモータースポーツの楽しさを広めることを目的に、新たに設けられたのが『クーパーSクラス』だ。
『クーパーSクラス』はナンバー付き車両で行うNゼロ規定のクラスで、参戦車両のベースは、F56クーパーS(XM20)である。
もちろん安全装備の装着が義務づけられ、MCJP指定部品となるロールケージ、牽引フックのほか、自由に選択できるフルバケットシート、4点式ハーネスを装備することでレース出場が可能となる。
また、保安基準に適合する範囲でのレース走行に必要な車両の改造が認められ、MCJPが認定したパーツが装着できるほか、MINI正規ディーラーで扱われているJCWチューニングアクセサリーも『MCJP認定パーツ』として使用することが可能だ。
装着タイヤは、『DUNLOP DIREZZA ZⅢ』のワンメイク。なおトランスミッションはMT、ATどちらを選択してもいいが、現在は多くの選手がAT車を選んでいる。素早いシフトチェンジが可能で、なおかつミスをしにくいのが人気の理由のようだ。
『クーパーSクラス』のレースは既存の『JCWクラス』との混走で開催され、全5ラウンド全10戦でシリーズチャンピオンを決定することは『JCWクラス』と変わらない。
参加にはJAF認定国内Aライセンス以上の資格者であることが必要となるが、ライセンス未保有者向けの『MCJPライセンス取得サポート制度』を用意し、モータースポーツの経験はないけれど「いつかは……」という思いがある方の肩を押してくれる体制も整っている。
■MINI CHALLENGE JAPAN.2020 Round.1 (第1戦/第2戦)レースダイジェスト
■富士スピードウェイを舞台にJCW/クーパーSクラスとも初参戦組に注目
2020年8月2日(日)富士スピードウェイにおいて、『MINI CHALLENGE JAPAN(MCJP)2020』Round.1(第1戦/第2戦)が開催された。
当初は5月23日〜24日に予定されていたラウンド1だが延期され、7月12日に行われたラウンド2(第3戦・第4戦)が実質的な“開幕戦”となり、その3週間後にスケジュールが変更された。
予選、決勝とも1日で行う1デイ2レースで開催。また、決勝レース#1は予選でスターティンググリッドを決めるが、決勝レース#2は決勝レース#1で上位60%に入ったドライバーがその順位を“ひっくり返して”グリッドにつく「リバースグリッド」を採用する。
そして、従来のJCWクラスに加えて、Nゼロ規定に則ったクーパーSクラスが設けられ、2クラスの混走となることなど、ラウンド2と同様のレースフォーマットで行われた。
■MINI CHALLENGE JAPAN.2020 Round.1 (第1戦/第2戦)【JCWクラス】
■F3選手権を戦ってきた強者、三浦 愛選手が参戦!!
ラウンド1 JCWクラスの出場ドライバーは、2号車 後藤比東至選手、7号車 為谷勝太選手、9号車 三浦 愛選手、10 号車 勝亦勇雅選手、17号車 鈴木建自選手、19号車 松本武士選手、22号車 吉田淳一選手の7名が揃った。
なかでも注目は、三浦 愛選手だ。今回はスポット参戦だったものの、三浦選手は6シーズン連続で全日本F3選手権を戦ってきた強者だ。練習時間が少なくマシンに慣れない様子だったが、決勝レース#1は3位、そして決勝レース#2では2位という好成績を残した。
そして、ツインリンクもてぎで開催されたラウンド2の実質的な開幕戦に続いて、ラウンド1も19号車松本選手が速さを見せつけ、2連勝を飾った。
また、7号車 ダイワグループは、MINI杉並やMINI西東京など自動車販売店を幅広く展開している会社のチームで、ラウンドごとに異なる『社員ドライバー』がステアリングを握っている。今回マシンを託された為谷選手は、予選で5番手、決勝レース#1は6位、決勝レース#2を4位でラウンド1を終えた。
決勝レース#1は、松本選手が優勝、2位 後藤選手、3位 三浦選手、4位 勝亦選手、5位 吉田選手、6位 為谷選手、7位 鈴木選手というレース結果となった。
決勝レース#2は、松本選手が決勝レース#1に続き優勝。松本選手は、開幕戦(1戦、2戦)から4連勝となった。以下、2位 三浦選手、3位 後藤選手、4位 為谷選手、5位 吉田選手、6位 鈴木選手という順位で、勝亦選手は5周を終えたところでリタイヤしている。
■MINI CHALLENGE JAPAN.2020 Round.1 (第1戦/第2戦)【クーパーSクラス】
■MINIを操る勘をがっちりと掴んだ伊藤選手が2戦とも優勝
クーパーSクラスは、3号車 木村英樹選手、6号車 伊藤聡夫選手、11号車 笹 瑞穂選手、27号車 諏佐憲二選手、70号車 増田直人選手、77号車 永井隆太郎選手、99号車 山本 賢選手、337号車 瀧井厚志選手の8台がエントリーした。
出場者の中で、ラウンド2の雪辱を期していたのが伊藤選手だ。ツインリンクもてぎでは結果を残すことができなかったが、今回は万全の体制で臨んだ。
また伊藤選手はMT車で参戦しているが、これはマシンを操ることに対する伊藤選手の強いこだわりだという。
そんな伊藤選手が予選では頭ひとつ抜け出た速さで圧倒し、ポールポジションを獲得。そして決勝レース#1は一度もトップを明け渡さずに優勝。さらに決勝レース#2も伊藤選手が3周目にトップに立ち、2連勝を果たした。
決勝レース#1は、伊藤選手が優勝。2位 諏佐選手、3位 瀧井選手、4位 木村選手、5位 山本選手、6位 増田選手、7位 永井選手、8位 笹選手というレース結果となった。
決勝レース#2は、伊藤選手が2秒半弱の差をつけて優勝。瀧井選手は決勝レース#1から順位をひとつあげて、2位でレースを終えた。また3位には、徐々にポジションをあげた山本選手が入り、4位 木村選手、5位 諏佐選手、6位 増田選手、7位 永井選手、8位 笹選手というレース結果となった。
■ドライバーコメント
■JCWクラス、クーパーSクラス、どちらもMINIの楽しさが詰まっている
■吉田淳一選手(22号車 EX-FORM RACING TEAM/JCW クラス
まずマシンに惹かれましたね。JCWクラス用のチャレンジカーは本格的な競技車両で、ボディパネルや足まわりなど、さまざまな専用パーツによってパフォーマンスアップし、6速シーケンシャルトランスミッションやコスワースのロガー機能付きダッシュモニターなども採用しています。
また、私はアマチュアレーサーですが、TCRチャンピオンの松本選手をはじめプロフェッショナルがしのぎを削るカテゴリーに参戦するドライバーと一緒に走れることにもワクワクします。
つまりMINI CHALLENGE JAPANは、ジェントルドライバーであっても本気のレースに身を置くことができ、それを存分に楽しめるフォーマットが整ったレースなんです。こういった位置づけのシリーズは、あまりないと思います。
チャレンジカーの走りにも少しずつ慣れてきて、レースの醍醐味を垣間見られるようになってきましたが、実は今シーズンから設けられたクーパーSクラスも気になっています。より手軽にエントリーできるところがいいし、エントラントのみなさんを見ていると、とっても楽しそうなので。
そもそもMINIは、街中でもキビキビ走れて痛快なのですが、その延長上にある、さらなるMINIの魅力どっぷりと浸ることができるのも、MINI CHALLENGE JAPANの面白さだと感じています。
■山本 賢選手(99号車 トータルカーショップK /クーパーSクラス)
ユーロカップやOKAYAMAチャレンジカップレースのポルシェトロフィーなどでサーキットバトルを楽しんできましたが、MINI CHALLENGE JAPANにクーパーSクラスが新設されると聞いて、興味を持ち参戦を決めました。
Nゼロ規定に則ったMINIのワンメイクレースというのがいいですよね。積載車に載せてサーキットに来られる方もいらっしゃいますが、私は往きも帰りもこのクーパーSで移動しています。もちろん街乗りも、このクーパーSでしています。
実はこれまで、現行モデルのF56 MINIには乗ったことがなかったんです。ツインリンクもてぎの開幕戦には出場しなかったので、今回のラウンド1がデビュー戦です。さらにFF車でレースに出場するのは初めての経験なので、まだまだMINIを乗りこなすまでには至っていません。
そんな手探りの状態ですが、MINIは走らせるのが楽しい反面、丁寧にドライビングをしないとタイムが出ないという印象を持ちました。コーナーで突っ込み過ぎたりと、反省することばかりですが、サスペンションセッティングを煮詰めつつ、クルマもドライバーもステップアップして行けたらと思っています。
今日は決勝レース#1、#2どちらも接戦になりましたが、セッティングを変更したのが功を奏したようで、決勝レース#2は3位に入ることができました。これからのラウンドも楽しく走っていい結果が残せるようがんばりたいと思います。
MINI CHALLENGE JAPAN 公式レポート
https://minichallenge.jp
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