レースを愛してやまないファンの方々へ
autosport web Premiumが登場。

詳細を見る

国内レース他 ニュース

投稿日: 2020.10.21 15:39
更新日: 2020.10.21 15:52

“ディーラーで買えるレーシングカー”BMW M2 CSレーシングが上陸。富士で初走行

レースを愛してやまないファンの方々へ
autosport web Premiumが登場。

詳細を見る


国内レース他 | “ディーラーで買えるレーシングカー”BMW M2 CSレーシングが上陸。富士で初走行

 10月21日、静岡県の富士スピードウェイで、スーパーGTやピレリスーパー耐久シリーズに参戦するBMW Team Studieが、BMWモータースポーツが開発した新たなレーシングカー、『BMW M2 CSレーシング』のアジア導入1号機をシェイクダウンさせた。

 このBMW M2 CSレーシングは、ニュルブルクリンク24時間やNLSニュルブルクリンク耐久シリーズ等で、独自クラスも設けられるほどの人気を誇る、BMW M235iレーシング/M240iレーシングと同じコンセプトで作られるレーシングカーだ。

 2018年末に早くもオーダーしていたというBMW Team Studieの鈴木康昭代表によれば、このBMW M2 CSレーシングは「BMWモータースポーツが作る純正レーシングカーの“入門編”です。できる限り安くレーシングカーを提供するという、非常に明快なコンセプトで作られています」という車両だ。

 車重は1500kgほどと重いが、そこには理由がある。レーシングカーは軽ければ軽いほどいいが、当然その分コストがかさむ。それをあえて重いままで保っているのだ。ベース車となるのは、日本で60台限定で販売されたBMW M2 CSだが、この車両で多用されたカーボンパーツをあえて使わず、リペア時等のコストダウンを図っている。

 一方で、外観上ではフロントバンパーにブレーキダクトが追加されているほか、5段階調整が可能なリヤウイングの装着、さらに内装では、「すごく作り込まれていて、M6 GT3やM4 GT4と比べても遜色ない仕上がりですね。ただ、センターコンソール等はプラスチック製になっていたりと、コストダウンを図りながら、レーシングカーとして仕上がっていると思います」というものだ。

BMW M2 CSレーシング
BMW M2 CSレーシング
BMW M2 CSレーシング
BMW M2 CSレーシング
BMW M2 CSレーシング
BMW M2 CSレーシング

■新しい販売モデルで“買える”レーシングカーに

 そんなBMW M2 CSレーシングの「大きなトピック」というのは、これまでBMWのカスタマーレーシングカーは、BMWモータースポーツ社が開発、そして販売まで担っていたものだったが、このBMW M2 CSレーシングからはBMWモータースポーツは開発のみとなり、販売は市販車を担うBMW M GmbHが手がけることになるということだ。

 この変化により、世界中のBMWディーラーでM2 CSレーシングが購入できるようになるという。すでに日本を含め、世界中のディーラーでメカニックの講習も進んでいる。つまり、誰でも近くのBMWディーラーで、このBMW M2 CSレーシングが購入できるということだ。

 気になる価格については、BMWジャパンの設定によるというが、1500万円以下になりそうとのこと。市販のM2が898万円、M2 CSが1285万円と考えると非常にリーズナブルなのは間違いない。今後、BMWジャパンからのアナウンスを待ちたいところだが、モータースポーツに取り組みたいジェントルマンドライバーが、このM2 CSレーシングをきっかけにM4 GT4、M6 GT3とステップアップできるのは間違いない。

 なお現段階では、日本ではこのM2 CSレーシングが参加できるレースカテゴリーはなく、「各国でワンメイクレースをやっていきたい構想があります」という。さらに、BMW Team Studieではまだ構想段階だというが、「スーパー耐久シリーズに特認で参加できないかと考えています」という。

 当然、3リッターターボのため、パワーの面で言うとST-1となってしまうが、車重があるためラップタイムとしては別のクラスになるだろう。今後どう実現するかは分からないが、参加するクラスによっては、好ライバルの出現となりそうだ。

BMW M2 CSレーシングのコクピット
BMW M2 CSレーシングのコクピット
BMW M2 CSレーシングのリヤウイング。5段階調整が可能
BMW M2 CSレーシングのリヤウイング。5段階調整が可能
ブレーキ導風が設けられたBMW M2 CSレーシング。フロントのリップもコストを考え樹脂製となっている。
ブレーキ導風が設けられたBMW M2 CSレーシング。フロントのリップもコストを考え樹脂製となっている。
BMW M2 CSレーシング
BMW M2 CSレーシング

■ラップタイムは1分52秒をマーク

 晴天に恵まれた10月21日のシェイクダウンは、10時35分からのスポーツ走行枠で行われた。この日はスーパー耐久でM4 GT4をドライブする木下隆之がステアリングを握りコースインしたが、思わぬトラブルに見舞われてしまう。なぜか時速30kmほどしか出なかったのだ。

 実はこの車両は、日本に入ってきた後展示等はされていたが、まさに最初のシェイクダウンだったこともあり、市販車のBMWにも装備されているという、輸送時用の“トランスポートモード”という状態になっていたのだ。このトラブルが解消され、14時からの走行枠でいよいよ本格的に走行を開始し、1分52秒というベストタイムをマークした。

 ステアリングを握った木下は「ひとことで言うと“ファン”な感じです。すごく楽しい」と感想を語った。「重量が重いとは聞いていましたが、逆に軽快に感じられる印象で、キビキビ走ります。誰が乗っても楽しいと感じると思いますし、遊べる一台です」と木下も大いに気に入った様子だった。

 M2 CSレーシングは、現段階では360馬力程度のパワーだが、今後11月にアップデートされ、450馬力にパワーアップする予定だ。TCR車両等では発進時にクラッチが必要な場面もあるが、これはパドルシフトですべてコントロール可能。またブレーキも大きな踏力は不要だという。まさにレース初心者にもってこいの素材と言えそうだ。BMWでレースを戦いたいジェントルマンドライバーはもちろん、今後の日本のカスタマーレーシングの世界においても注目の存在なのは間違いないだろう。

M2 CSレーシングのシェイクダウンを担当した木下隆之
M2 CSレーシングのシェイクダウンを担当した木下隆之
BMW M2 CSレーシング
BMW M2 CSレーシングのエンジンルーム
BMW M2 CSレーシング
BMW M2 CSレーシング
富士スピードウェイでシェイクダウンされたBMW M2 CSレーシング
富士スピードウェイでシェイクダウンされたBMW M2 CSレーシング
富士スピードウェイでシェイクダウンされたBMW M2 CSレーシング
富士スピードウェイでシェイクダウンされたBMW M2 CSレーシング
富士スピードウェイでシェイクダウンされたBMW M2 CSレーシング
富士スピードウェイでシェイクダウンされたBMW M2 CSレーシング
富士スピードウェイでシェイクダウンされたBMW M2 CSレーシング
富士スピードウェイでシェイクダウンされたBMW M2 CSレーシング
BMW M2 CSレーシング
BMW M2 CSレーシング


関連のニュース