全8クラスが競うピレリ・スーパー耐久シリーズのなか、GT4マシンによって競われるST-Zクラスは、2018年のクラス創設以来、年々車種バラエティが増えている。
10月10日から11日にかけて開催された2020年シーズンの第2戦『SUGOスーパー耐久3時間レース』では、ST-Zクラスに6車種、9台がエントリーした。今回は、ST-Zクラスに参戦するうちの1台、今年からスーパー耐久に参戦を開始したBMW M4 GT4の特徴、特性をご紹介しよう。
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2018年、2019年とブランパンGTワールドチャレンジ・アジアのGT4クラスにBMW M4 GT4で参戦したBMW Team Studie。2018年にはチームチャンピオンを獲得し、2019年には砂子塾長がドライバーズチャンピオンを獲得する活躍をみせた同チームが2020年ひさびさに日本に活動の場を戻し、スーパー耐久で2台のM4 GT4をサポートすることになった。
第1戦『NAPAC 富士 SUPER TEC 24時間レース』から参戦する20号車 SS/YZ Studie BMWは鈴木宏和をAドライバーに、2019シーズンのブランパンGTワールドチャレンジ・アジアを戦った木下隆之と砂子塾長という強力なドライバーラインナップとなっている。
2019年のブランパンGTワールドチャレンジ・アジア第5戦韓国ラウンド終了時点では木下と砂子がコンビを組んでGT4クラスのドライバーズチャンピオンを獲得していたBMW Team Studieだったが、最終戦上海ラウンドでは砂子と木下がそれぞれ1台のM4 GT4でエントリー。その結果、砂子が木下を16ポイント上回り、ただ一人ドライバーズチャンピオンを獲得した。
一度は二人で獲得したチャンピオンの称号をランキング2位となった木下は返上することになったわけだが、これは一体どういう意図があったのだろうか。鈴木康昭チーム代表、木下隆之、砂子塾長の3名に話を伺った。
木下「第5戦韓国でチャンピオンを獲得した夜の飲み会で決まったんですよ。鈴木さんが急に『ちょっとさ、面白いこと考えたんだけど。この二人勝負させない?』と。チームにはM4 GT4が2台あるから最終戦は二人で競争させようよって言い出して(笑)」
鈴木代表「そしたらアニキ(木下)がチャンピオンじゃなくなるというね(笑)」
砂子「最終戦の上海で俺が前でチェッカー受けたから、アニキは一度チャンピオンになったのに自主返納しちゃったの(笑)」
木下「韓国ラウンドの後にFacebookとかでチャンピオンとりました!!って書いて、みんなに『パーティやりましょうよ』って言われてたのにチャンピオンじゃなくなったんだもん(笑)」
鈴木代表「もちろん、ちゃんと打ち合わせの上ですよ!!」
木下「ほんと人の人生なんだと思ってるんだよって感じですよね(笑)」
通常2名のドライバーが1台のマシンをシェアして戦うブランパンGTワールドチャレンジ・アジアだが、7秒の停車義務時間加算のハンデを負えば、1名で参戦することも可能なのだ。
さらに一度は決まったチャンピオン争いが最終戦にも持ち越されるということで、ブランパンGTワールドチャレンジ・アジアを運営するSRO(ステファン・ラテル・オーガニゼーション)も喜んでいたというから驚かされる。