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国内レース他 ニュース

投稿日: 2021.10.16 15:00
更新日: 2021.10.17 06:38

プロフィギュアスケーター無良崇人、TGRヤリスカップデビュー戦は20位完走

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国内レース他 | プロフィギュアスケーター無良崇人、TGRヤリスカップデビュー戦は20位完走

 プロフィギュアスケーター無良崇人が10月10日に宮城県・スポーツランドSUGOで開催されたTOYOTA GAZOO Racing YARIS CUP東日本第4戦に参戦。2019年の86/BRZレース以来、およそ2年ぶりとなったレースでは、予選B組10番手となり決勝は20番グリッドからのスタート。一時は25位まで順位を落としたものの、激しい攻防の末、20位で完走を果たした。

 2018年3月にフィギュアスケートの競技生活から引退し、プロフィギュアスケーターに転身した無良は、同年5月から今年4月に横浜アリーナで行われた千秋楽公演まで3年間に渡り、日本全国を巡るアイスショー『浅田真央サンクスツアー』に主要キャストとして全202公演に参加。無良はショーのなかで浅田真央さんがバンクーバー五輪で銀メダルを獲得したときの演目、ラフマニノフの『鐘』を演じ、現役時代さながらの豪快なトリプルアクセルで大勢の観客を魅了した。

 私生活では自身でステアリングを握りドライブすることが大好きで、以前から大のスーパーGTファンを公言する無良。タイミングさえ合えば各地のサーキットにも足を運び、多くのレーシングドライバーとも親交が深い。アイスショーやテレビの解説、後進の育成など本来のプロフィギュアスケーターとしての多忙な活動の合間を縫い、長い間ずっと憧れていた自動車レースに挑戦を開始。86/BRZレースに出場する機会を得た無良は、2019年5月のSUGO、7月の富士と2大会にエントリーしたが、その後はコロナ禍で本業のアイスショーが中止や延期となってしまったこともあり、スケジュールの調整が難しく継続参戦が困難な状況となっていた。

 そんななかチャンスが到来。これまで21年間親しまれてきたヴィッツレースが、今年から新たにTOYOTA GAZOO Racing YARIS CUPへと生まれ変わり、2年前に86/BRZレースに参戦したときの茨城ワクドキクラブが再び無良に出場機会を与えてくれることになったのだ。今回のスポーツランドSUGOは東日本第4戦となっているが、8月29日に予定されていた第3戦の十勝が新型コロナ感染拡大の影響により開催延期となったため、ヤリスカップ東日本はこれが3レース目。ヴィッツレース時代からの猛者もいれば、新たにレース活動をはじめた新人もいるが、全員が新しいクルマでほぼ横一線のスタートとなったことは無良にとっても都合がよかった。

ヤリスカップ参加車両にのみ許された誇らしいエンブレム

 レースに先立ち、本番と同じ舞台スポーツランドSUGOで9月29日(水)に事前の練習走行を行うことになった。そこには無良の心強い助っ人が登場。もはや説明の必要がない国内トップドライバーのひとり、スーパーGT500クラス、DENSO KOBELCO SARD GR Supraの中山雄一選手だ。「今回の肩書はコーチですか? アドバイザー? 先生? お師匠?」と中山に尋ねたところ、「お友だちです」との返事が返ってきた。そして「強いて言えばゴルフ仲間ってとこかな?」と無良とは以前からプライベートでも仲良しとのこと。

スーパーGTドライバー、中山雄一に見送られピットアウトしていく無良

 無良はこの日がヤリスでの2回目の走行。「エントリーは56台か。(予選)通過は45台? なんとか決勝に行きたいなぁ」と今回の目標はまず予選通過。真新しい白いレーシングスーツに身を包み、午前10時に早速コースインしていく。他のカテゴリーや一般車両も混走する走行会だが、平日のため比較的台数は少なく思い切り練習できる環境。連続周回を何度か重ね、ピットに戻り走行データを見ながら中山からの指導を受け、再びコースインという作業を繰り返す。

ヘルメットをかぶりコクピットで集中力を高める無良
スポーツランドSUGOをヤリスで疾走
クルマを降りる度、走行データを見ながら中山から入念な指導を受ける

 そして今度はドライバー交代、無良に代わり中山がヤリスのコクピットに収まり周回を重ねていく。マシンの感覚のフィードバックはもちろん、中山の叩き出すタイムはこのヤリスで出せる最速タイムと考えてほぼ間違いないため、無良が目指すこの上ないベンチマークとなる。逆に言えば、もし無良が中山と同等のタイムをマークできれば、クルマの性能を限界値近くまで引き出せていることとなるのだ。クルマから降りた無良は「暑い、暑い」を連発。耐火素材のレーシングスーツにバラクラバ、ヘルメットの完全装備でのドライブは、いつもの寒いスケートリンクとは、戦う環境がまるで違うのだろう。

濃密な時間を過ごし、ドライビングへの理解が深まっていく無良

 10時から16時半ごろまで多くの周回を重ね、この日の無良は1分50秒1の最速タイムをマーク。ここスポーツランドSUGOで7月に行われた東日本第2戦のポールタイムは1分50秒314なので、その時とは気温や路面温度などコンディションの違いはあるにせよ、このタイムは決して悪くない。中山からは「予選通過どころか、こりゃ表彰台もいけるぞ」との発言も飛び出した。

 練習走行を終えた無良は、その週末の10月2~3日にさいたまスーパーアリーナでアイスショー「木下グループpresentsカーニバル・オン・アイス2021」に出演。プロフィギュアスケーターとレーシングドライバーへの素早い転身をこなした。

ヘルメット姿のふたりが乗り替わるのは、まるでスーパーGTのワンシーンのようだ
ドライバー交代。無良に代わって中山がヤリスのステアリングを握る
多くの周回を重ねたタイヤは左リヤだけが大きく摩耗し、まるでスリックのように溝がなくなっていた

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