レースを愛してやまないファンの方々へ
autosport web Premiumが登場。

詳細を見る

国内レース他 ニュース [PR]

投稿日: 2022.08.23 07:25
更新日: 2022.08.23 07:28

トップカテゴリーで活躍するポルシェジャパンジュニアドライバー出身者に要注目

レースを愛してやまないファンの方々へ
autosport web Premiumが登場。

詳細を見る


国内レース他 | トップカテゴリーで活躍するポルシェジャパンジュニアドライバー出身者に要注目

 1990年にドイツ本国でスタートしたポルシェのワンメイクレースである『ポルシェカレラカップ』。1993年からはヨーロッパで開催されるF1のサポートレース『ポルシェスーパーカップ』へと発展し、今では世界各国でポルシェカレラカップが開催されている。

 日本では2001年から『ポルシェカレラカップジャパン(PCCJ)』が行われており、22年目を迎えた2022年はニューマシンである『911 GT3カップ(タイプ992)』が導入された。

 このニューカップカーは、4.0リッター水平対向エンジンを搭載し、8400rpmで先代モデルを25ps上回る最高出力375kW(510ps)、6150rpmで470Nmの最大トルクを発生。

 外観もカップカーとしては初となる、ワイドなターボ仕様の軽量ボディを採用している。また、スワンネックタイプの大型リヤウイングを備えたリヤスポイラーと、レースに適合されたフロントエプロンの組み合わせにより、空力ダウンフォースは大幅に増加されている。

 この国内で行われているワンメイクレースの中で、もっとも長きに渡り継続開催されているPCCJを運営するポルシェジャパンとポルシェカレラ カップジャパン委員会は、2009年から若手ドライバー育成プログラムとして、ポルシェジャパンジュニアドライバーを起用している。

 これまでに数々のトップドライバーを輩出しているが、特に2022年はポルシェジャパンジュニアドライバー出身のドライバーが各カテゴリで活躍している。

2012年にポルシェジャパンジュニアドライバーとしてPCCJシリーズチャンピオンを獲得した平川亮
2012年にポルシェジャパンジュニアドライバーとしてPCCJシリーズチャンピオンを獲得した平川亮
2022年のル・マン24時間で見事に優勝を成し遂げた平川亮
2022年のル・マン24時間で見事に優勝を成し遂げた平川亮

 まず、2012年にポルシェジャパンジュニアドライバーとして活躍し、PCCJシリーズチャンピオンを獲得した平川亮は、翌2013年にはスーパーフォーミュラへ参戦。2015年からはスーパーGTのGT500クラスにフル参戦し、2017年にはニック・キャシディと組み23歳の史上最年少コンビでチャンピオンを獲得。

 そして2022年は、スーパーフォーミュラとともに世界耐久選手権に参戦し、6月に開催されたル・マン24時間では見事に初優勝を飾った。その平川はPCCJの思い出を「PCCJは車重があるクルマでの初レースであり、当時乗っていたフォーミュラとの違いを学んだ原点だと思っています。そして当時、タイヤのマネージメントもかなり重要だったので、その点も今に生きています」と、かつて語ってくれた。

笹原右京は2019年にポルシェジャパンジュニアドライバーとしてPCCJシリーズチャンピオンを獲得
笹原右京は2019年にポルシェジャパンジュニアドライバーとしてPCCJシリーズチャンピオンを獲得
2022年のスーパーフォーミュラ第6戦で初優勝を飾った笹原右京
2022年のスーパーフォーミュラ第6戦で初優勝を飾った笹原右京

 続いて、2019年にポルシェジャパンジュニアドライバーとしてPCCJシリーズチャンピオンに輝いた笹原右京は、翌2020年からスーパーGTのGT500クラスへ参戦して優勝争いを繰り広げている。

 また、2021年にスーパーフォーミュラへのスポット参戦を果たし、2022年にはレギュラーシートを獲得して、開幕戦でいきなりポールポジションを獲得する活躍を見せる。

 そして7月に開催されたスーパーフォーミュラ第6戦では、予選13番手スタートながら大逆転で初優勝を飾った。その笹原は「2019年にPCCJへ参戦して驚いたことは、カップカーで速いタイムを安定して出すことの難しさです。クルマに慣れるまでは本当に苦労が多く、僕が今乗っているGT500クラスのマシンと比較しても、カップカーを速く走らせる方が難しかったと感じています」と語る。

ポルシェジャパンジュニアドライバーとして2021年のPCCJに参戦した大草はシリーズランキング4位を獲得
ポルシェジャパンジュニアドライバーとして2021年のPCCJに参戦した大草はシリーズランキング4位を獲得
2022年のスーパーGT第2戦のGT300クラスで初優勝を飾った大草りき(写真中央)
2022年のスーパーGT第2戦のGT300クラスで初優勝を飾った大草りき(写真中央)

 
 そして昨シーズン、ポルシェジャパンジュニアドライバーとしてPCCJに参戦した大草りきは、2022年スーパーGTのGT300クラスへの参戦を果たし、第2戦で初優勝を飾った。その大草は、昨シーズンのPCCJ参戦がなければ今の自分の成長はなかったと次のように語る。

「2021年はポルシェジャパンジュニアドライバーとして、関係者の方々のサポートとPCCJドライビングアドバイザーの影山正美さんから指導して頂いたのが大きかったですね。僕が今まで考えていなかった部分に対するアドバイスを色々として頂いたお陰で、ポルシェだけではなく他のクルマに対する理解度も上がりました」

「タイヤの使い方、ウォームアップの仕方、レース中にどんなことを考えたら速く走れるのか、などドライビング以外のことを教えて頂いて感謝しています。特にカップカーは、ダウンフォースがないのにハイパワーなため扱いが本当に難しくて、最初はうまく乗りこなすことが全然できないと自分自身で感じていました」

「しかも、先輩の近藤翼選手、小河諒選手、上村優太選手は何年もカップカーをドライブしてきたベテランで、その差は明らかで最初は本当に地獄でした。でも、そういった環境の中で自分を奮い立たせて様々なことを吸収することができたので、今の自分があると思っています」

「2022年、スーパーGTに参戦してクルマのダウンフォースはカップカーよりもアップしているので、思っていた以上にクルマを楽にドライビングすることができ、予選でポンと乗ってもタイムを出すことができています。これは、2021年の経験が一番直結している点だと思っています」

「自分の経験からPCCJは、プロドライバーを目指す若いドライバーにとって本当に勉強になるカテゴリーだと思います。参戦するジェントルマンドライバーも、カップカーの扱いに慣れたベテランの方々が多くてとても速いので、色々な刺激をもらうことができます。そしてカップカーで戦ってから、他のカテゴリーのマシンをドライブすると自分の成長を本当に実感することができると思います」

 また2021年、大草のライバルとして戦いPCCJ史上初の4度目のシリーズチャンピオンに輝いた近藤翼は、2022年もPCCJに参戦中だが、ダブルエントリーとなったスーパーGT第3戦のGT300クラスで優勝を飾っている。

ポルシェジャパンのフィリップ・フォン・ヴィッツェンドルフ社長(左)と2022年ポルシェジャパンジュニアドライバーの山本聖渚
ポルシェジャパンのフィリップ・フォン・ヴィッツェンドルフ社長(左)と2022年ポルシェジャパンジュニアドライバーの山本聖渚

 このようにトップカテゴリーで活躍を見せているポルシェジャパンジュニアドライバー達だが、先日のスーパーGT第4戦と併催して行われたPCCJ第7〜8戦・富士大会で新たなポルシェジャパンジュニアドライバーがPCCJデビューを飾った。

 それが、伝説のF1王者であるアイルトン・セナと同じ名前を持つ山本聖渚だ。山本は、8歳でカートデビューを果たして、2018年からは鈴鹿レーシングスクールで腕を磨いてきた。

 2022年は、PCCJへのステップアップカテゴリーであるポルシェスプリントチャレンジジャパン(PSCJ)へ718ケイマンGT4クラブスポーツで参戦しているが、富士大会からPCCJへの参戦も果たした。

 PCCJ第7〜8戦は、ベテランの近藤翼が欠場となったため山本のターゲットは、PCCJ2013年、2014年のシリーズチャンピオンである小河諒ひとりとなった。第7戦予選では、その小河と0秒377差で2番手グリッドを獲得し、レース前半では小河の背後に迫る活躍を見せたが、後半はタイヤの使い方に慣れていないこともあり離されてしまい2位でゴール。

 続く第8戦は、第7戦と同じく2番手グリッドからのスタートとなるが、エンジンストールを起こして他車と接触してしまいリタイアに終わった。

 PCCJ初大会参戦を終えた山本は、「PSCJに参戦しているクルマとの差は思った以上に感じなかったので、PCCJのカップカーがドライブしにくいと感じることはなかったです。でも、ジェントルマンドライバーがポルシェならではの乗り方を自分のものにしていて、本当に速くて驚きました」

「第7戦のレースでは小河選手の後ろを走ったことで、本当に色々なことを勉強することができました。でも、第8戦はスタートに失敗して関係者の方々に迷惑を掛けて申し訳なかったと思っています」

「PCCJ初参戦では色々な経験を通じて少し自信が着いた部分もあるので、それを次のレースで生かして、ポルシェマイスターである小河選手、近藤選手と戦えるように頑張っていきたいと思います。そしてPCCJ参戦で学んだことを生かして、将来は世界で戦えるドライバーになりたいです」と、意気込みを語る。

 なお、PCCJの2022年シーズンは全11戦で競われており、8月7日に開催された第8戦まで終了しており、残り3戦となっている。第9〜10戦は8月27日(土)〜28日(日)に、最終大会となる第11戦はF1日本GPのサポートレースとして10月7日(金)〜9日(日)に、ともに鈴鹿サーキットで開催が予定されている。


関連のニュース