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国内レース他 ニュース

投稿日: 2023.03.15 16:20
更新日: 2023.03.15 20:19

水素エンジン搭載のORC ROOKIE GR Corolla H2 conceptがスーパー耐久第1戦鈴鹿を欠場へ

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国内レース他 | 水素エンジン搭載のORC ROOKIE GR Corolla H2 conceptがスーパー耐久第1戦鈴鹿を欠場へ

 3月15日、トヨタ自動車はプレスリリースを発行し、3月18〜19日に三重県の鈴鹿サーキットで開催されるENEOSスーパー耐久シリーズ2023 Powered by Hankook第1戦『SUZUKA S耐 5時間レース』で、水素エンジンを積むORC ROOKIE GR Corolla H2 conceptが欠場すると発表した。

 2021年の富士SUPER TEC 24時間レースでデビューを飾り、『モータースポーツを起点としたもっといいクルマづくり』のコンセプトのもと、レース・バイ・レースで進化を遂げてきた水素エンジンを積むORC ROOKIE GR Corolla H2 concept。メーカー開発車両が参加可能なスーパー耐久のST-Qクラスを活用し、2年間の開発で大幅に航続距離やスピードを伸ばしてきていたが、さらなる進化を目指し、2023年はこれまで気体水素だった燃料を、液体水素に変更していた。

 この液体水素を使うことで、航続距離やパワーでも大幅な改善が期待されるところだが、マイナス253℃の状態を保たなければならない液体水素の扱いが大きなチャレンジで、さまざまな社内での開発を経て、2月23日に静岡県の富士スピードウェイで開催されたスーパー耐久シリーズの公式テストでは、ついにその姿を披露。大幅にコンパクトになった給水素設備など、およそ不可能とも思われた新たな挑戦をスタートさせ、3月18〜19日に鈴鹿サーキットで開催される第1戦は、本格的なレースデビューとなる予定だった。

 ただ、そんな世界的にもエポックメイキングな液体水素のレーシングカーのデビューは、いったん延期されることになった。これは3月15日にトヨタ自動車から発表されたもので、原因としては、3月8日に富士スピードウェイで実施した社内専有テストで、エンジンルームの気体水素配管からの水素漏れによる車両火災が発生したため、車両復旧が間に合わなくなってしまったのが理由だという。

 この火災の際もORC ROOKIE GR Corolla H2 conceptは液体水素を使用し走行していたというが、車両振動による配管結合部の緩みが生じたため、水素が漏れ、配管結合部がエンジン近辺にあったため、漏れた水素が熱されることで引火したという。

 ただ一方で、当初設定した狙いどおりに水素リークセンサーによるフェールセーフが正常に機能し、水素の供給が停止され、大幅な延焼は避けられたという。このフェールセーフはほぼ瞬間的に作動し水素供給を停止。結果的にキャビンは守られ、ドライバーの安全対策について確認することができたとしている。

 今回の欠場はファンにとっては非常に残念なものではあるが、気体水素から液体水素への変更が原因ではなく、車両振動による配管のゆるみという、ある意味でモータースポーツではしばしば聞かれるトラブルが原因で、TOYOTA GAZOO Racingが志す『モータースポーツを起点としたもっといいクルマづくり』を体現するようなものとなった。トヨタでは今後水素漏れの原因となった配管設計を見直すことで、より安全な車両開発を行っていくとしており、当然これは将来に繋がっていくはずだ。

 トヨタ自動車はリリース内で「今後も、仲間とともに、レース参戦に向けて開発に取り組み、カーボンニュートラル実現に向けて、水素エンジンカローラでの挑戦を続けてまいります。特に、今年は液体水素でのレース走行という世界初の取り組みにチャレンジしていきます。引き続き、温かいご支援のほど、よろしくお願いいたします」としている。

 なおORC ROOKIE Racingは、第1戦鈴鹿では水素エンジンカローラに代わり、通常燃料を使用するORC ROOKIE GR Yarisを投入予定だという。

富士スピードウェイでのスーパー耐久公式テストで走行した液体水素搭載のORC ROOKIE GR Corolla H2 concept
富士スピードウェイでのスーパー耐久公式テストで走行した液体水素搭載のORC ROOKIE GR Corolla H2 concept


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