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国内レース他 ニュース

投稿日: 2023.05.28 20:03
更新日: 2023.05.28 23:06

2023年の富士24時間はレース終盤にドラマ。中升 ROOKIE AMGが大逆転でチーム初の総合優勝を飾る

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国内レース他 | 2023年の富士24時間はレース終盤にドラマ。中升 ROOKIE AMGが大逆転でチーム初の総合優勝を飾る

 5月27日15時に静岡県の富士スピードウェイで決勝スタートを迎えたENEOS スーパー耐久シリーズ2023第2戦『NAPAC 富士SUPER TEC 24時間レース』は、28日15時に24時間レースのフィニッシュを迎え、ST-Xクラスの中升 ROOKIE AMG GT3(鵜飼龍太/蒲生尚弥/平良響/片岡龍也)がチーム初の総合優勝を飾った。

 現在国内で唯一の24時間レースとなり、スーパー耐久シリーズの一戦として6度目の開催となる2023年の富士24時間。今年は8クラス52台がエントリーを行い、多くのチームが助っ人として有力ドライバーを迎えるなど盛り上がりをみせている。

 迎えた決勝日は晴天に恵まれ、気温25度、路面温度35度のなかドライコンディションで開始された。スタートでは2グループに分けられた8クラス52台のマシンが24時間レースのスタートらしくクリーンな出だしをみせる。

 FIA-GT3車両が総合優勝を争うST-Xクラスは、2番手スタートの中升 ROOKIE AMGの片岡龍也がポールスタートのHELM MOTORSPORTS GTR GT3の鳥羽豊を1周目の最終コーナーでオーバーテイクして早くも首位に立つ。

2023スーパー耐久第2戦富士 2周目の1コーナーで争う中升 ROOKIE AMG GT3とHELM MOTORSPORTS GTR GT3
2023スーパー耐久第2戦富士 2周目の1コーナーで争う中升 ROOKIE AMG GT3とHELM MOTORSPORTS GTR GT3

 その後ピットインを行ったST-X各車は、鳥羽からステアリングを引き継いだ平木玲次が駆るHELM GTRが前をいく中升 ROOKIE AMGを上回るペースで周回を続け、65周目のTGRコーナーでオーバーテイクに成功。これでポールスタートのHELM GTRがふたたび総合トップに立つ。

 スタートから8時間経過時点ではフルコースイエロー(FCY)とセーフティカー(SC)がともに1度の導入と落ち着いたレースになっていた2023年の富士24時間だが、18時40分からのナイトセッションに突入すると、レースの様子が一変。まずST-4のシェイドレーシング GR86が火災に見舞われてしまうアクシデントが発生する。

 この処理のためにFCYとSCが導入され、その間にピットインするマシンが現れるなかで首位に浮上したのは中升 ROOKIE AMG。2番手にHELM GTRが続き、その背後にはDAISHIN MPRacing GT-R GT3が迫る。

 トップをいく中升 ROOKIE AMGはナイトセッション中に平良響が好ペースを披露して後続を引き離す単独走行を行うが、DAISHIN MPRacing GT-RはFCY中のピットインが判定されペナルティストップ60秒、HELM GTRは右ブレーキローターが割れてしまうトラブルが発生し緊急ピットインを余儀なくされ後退していく。

 3時30分過ぎ、ST-4クラスのトップを走行していたTOM’S SPIRIT GR86がダンロップコーナーのイン側ガードレールにクラッシュ。このアクシデントでガードレールの修復が必要になったためレースは一時赤旗中断されることに。

2023スーパー耐久第2戦富士24時間は3時30分過ぎに一時赤旗中断となる
2023スーパー耐久第2戦富士24時間は3時30分過ぎに一時赤旗中断となる

 およそ1時間半の中断後、日の出を迎えた5時にSC先導で再スタートを迎えた富士24時間。その再スタートで片岡の駆る中升 ROOKIE AMGはファーストセーフティカーライン前にセーフティカーを追い越したとのことでドライビングスルーペナルティを科されてしまう。これで2番手のDAISHIN MPRacing GT-Rが1周遅れから同一周回に差を縮める。

 そしてレース再開から1時間30分、藤波清斗がステアリングを握るDAISHIN MPRacing GT-Rは中升 ROOKIE AMG GT3を捉え、444周目のホームストレートでオーバーテイクに成功する。その後もペースの衰えないDAISHIN MPRacing GT-Rは、628周目に中升 ROOKIE AMG GT3を周回遅れにする活躍を披露する。

 総合優勝を争う両マシンは、次のスティントでDAISHIN MPRacing GT-RがジェントルマンのJOH SHINDOにドライバーを交代すると、中升 ROOKIE AMGはスーパーGTでも活躍するプロドライバーの蒲生尚弥を投入して形成逆転にかかる。その蒲生は1周あたり3〜4秒ほど速いペースで周回を続け、一時は2周差あったDAISHIN MPRacing GT-Rとの差を1周差に縮めることに成功。

 その後も圧倒的なハイペースで周回を続ける中升 ROOKIE AMGは、さらにDAISHIN MPRacing GT-Rとの差を同一周回とし、レース残り1時間では1分ほどまで差を縮める。そして2023年の富士24時間もレース残り23分、ついに蒲生の中升 ROOKIE AMGはJOE SHINDOのDAISHIN MPRacing GT-R GT3の背後に迫り、グリーンファイト100Rのアウト側からオーバーテイクに成功し、これで総合トップに立つ。

 レースはそのままトップを守り抜いた中升 ROOKIE AMG GT3が24時間のトップチェッカーを受け、今季からST-Xクラスに参戦したROOKIE Racingが2戦目で総合優勝を獲得してみせた。

2023スーパー耐久第2戦富士 チェッカーフラッグを受けた中升 ROOKIE AMG GT3(鵜飼龍太/蒲生尚弥/平良響/片岡龍也)
2023スーパー耐久第2戦富士 チェッカーフラッグを受けた中升 ROOKIE AMG GT3(鵜飼龍太/蒲生尚弥/平良響/片岡龍也)

 最終スティントを担当した蒲生は今回の優勝に「結果的にはこういった結果になりましたけど、そこに至るまでのメカニックさんたちやチームメイトの頑張りが最後の結果に結びつきました」と笑顔をみせた。「僕はレース早々に300Rで他車と接触しスピンをしてしまいました。でもそのときにクルマがどこも壊れずに本当にラッキーで、そこでクルマが壊れてしまっていたらこの結果にもなっていません。正直優勝することができてびっくりしています(笑)」

 今季からROOKIE Racingに加わった平良は「本当に嬉しいです。昨年(ST-2クラスで)優勝したときは“ホッとした”感じだったのですが、今年は展開的にラスト20分での逆転という展開だったので、本当に嬉しさのほうが際立ちます」と優勝を噛み締めている様子だ。

 さらに鵜飼は「僕自身今季初めてST-Xクラスに参戦するので、かなりプレッシャーがありました。ですが、このチームのプロドライバーなど、チーム力に助けてもらい、何とかやりきった結果が総合優勝に繋がったので、本当に感謝しています。チーム力が本当に素晴らしかったです」とチーム全体を称賛。

 さらにチーム監督兼ドライバーである片岡も「素直に嬉しいです。このチームは優勝を目指すために立ち上げられたチームです。早くも一番大きな富士24時間の総合優勝を獲得することができて本当に嬉しいです」と喜びを語り、以下のように今季の目標を続けた。

「もちろんシリーズチャンピオンを目指します。メンバーも普段スーパーGTでメルセデスAMG GT3に乗っている僕と蒲生、さらに最近の若手のなかで勢いのある平良、そして急成長中のジェントルマンドライバーである鵜飼選手がいるので、チーム全体が力を合わせれば十分チャンピオンを狙えると思っています」

2023スーパー耐久第2戦富士 ST-Xクラスの表彰式
2023スーパー耐久第2戦富士 ST-Xクラスの表彰式
2023スーパー耐久第2戦富士 表彰台でシャンパンを掛け合う蒲生尚弥と平良響(中升 ROOKIE AMG GT3)
2023スーパー耐久第2戦富士 表彰台でシャンパンを掛け合う蒲生尚弥と平良響(中升 ROOKIE AMG GT3)

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