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投稿日: 2024.06.28 07:18
更新日: 2024.06.28 07:19

F1スペインGP分析(2)過去5戦で7チームがレッドブルとのタイム差を縮める。マクラーレンはほぼ同等に


F1 | F1スペインGP分析(2)過去5戦で7チームがレッドブルとのタイム差を縮める。マクラーレンはほぼ同等に

 2024年F1第10戦スペインGPでは、レッドブルのマックス・フェルスタッペンが優勝したが、速さで目を引いたのはマクラーレンのランド・ノリスの方だった。また、フェラーリはアップデートを入れながらも、精彩を欠いた。レッドブルはなぜ今回苦戦し、マクラーレンはなぜ好調だったのか。そして、フェラーリは何に苦しんでいたのか。F1i.comの技術分野担当ニコラス・カルペンティエルが分析し、マシン細部の画像も紹介する(全2回)。

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 ランド・ノリスはイモラやカナダと同様に、今回のスペインでも各スティントの終わりに、マックス・フェルスタッペンをはじめ他のドライバーよりも速く走ることができた。これはまさにMCL38の、タイヤを持たせる能力のおかげだった。一方ニュータイヤでは、確かに依然としてレッドブルRB20の方が速い。しかしその差は、今やほんのわずかになっている。なのでもしノリスがより良いスタートを決めていたら、その後もレースを支配していた可能性は高そうだ。

 しかし実際にはノリスは、フェルスタッペンに抜き返されて2番手に後退したジョージ・ラッセルの後ろで、大幅に時間をロス。その間にフェルスタッペンに、快適なリードを築かせてしまった。

 それでも終盤にはピットインを遅らせたことで、最終スティントではフェルスタッペンに対して6周のタイヤアドバンテージを得た。だがそこからは、カルロス・サインツ、ルイス・ハミルトン、そして再び激しい抵抗を見せたラッセルを追い越さざるを得なくなった。こうしてノリスが期待したキャリア2勝目は、遠のいてしまったのだった。

 終盤のピットインのタイミングについて、アンドレア・ステラ代表は、「たとえ我々がリードしていたとしても、同じ戦略をとっていただろう」と断言する。

「予想外だったのは、ラッセルの抵抗だった。彼をかわすのに、あまりに多くの時間をロスしてしまったからね」

「(マクラーレンとレッドブルとの)レースペース自体は、ほぼ互角と言ってよかった。タイヤがよりフレッシュだった分、最後は我々の方が速かった。一方でマックスの方が序盤に速かったのは、我々がラッセルの後ろで動けなくなっていたからだ。いずれにしてもタイヤと空力の点で要求の厳しいカタロニアサーキットで、これだけの競争力を披露できた。クルマの進歩を裏付ける結果だったことは確かだ」

フェラーリSF-24
フェラーリSF-24比較写真

 マクラーレンはスペインの週末に大きなアップデートがなかったにもかかわらず、かなりレッドブルに接近できた。一方でフェラーリは、新たなボディワークを投入しながら、その効果ははっきりしたものではなかった。

 カナダの失敗を受けて(2台揃ってQ2落ち、レースも2台リタイア)、今回一歩前進することを望んでいたフェラーリだったが、高速区間でのポーパシングは依然として制御しきれていないようだ。象徴的だったのがターン9と14の高速コーナーで、ライバルたちはエンジン全開でクリアして行く中、シャルル・ルクレールとカルロス・サインツだけはスロットルを戻さざるを得なかったのだ。

「スペインの週末を通して、ずっと高速コーナーで苦しみ続けた」と、サインツは言う。「ポーパシングを最後まで解消できなかった。マシンに強い横荷重がかかると、再発してしまうんだ」

「グラウンドエフェクトになって3年目というのに、僕たちはまだこの問題を克服しきれていない。少なくともこの領域では、マクラーレンとレッドブルの方がずっと良い仕事をしているね」

「中でもマクラーレンが、現時点で最も安定したクルマだと思う。レッドブルも僕たち同様、特定のサーキットで問題を抱えているからね。対照的にマクラーレンは、どこでも速い。特にスローコーナーの機敏さには目を見張るよ。ターン5では最速を記録していたからね。その上、高速のターン3と9も全開で行けていた。オールマイティなんだ」

 昨年ほどではないとはいえ、今季もマクラーレンはフェラーリよりも悪いスタートを切った。しかし効果的なアップデートのおかげで追いつき、追い越しつつある。ここ数戦は、王者レッドブルをコンスタントに脅す存在になっている。技術規約が変わらずにいることで、マシン間の性能差が縮まったのだ。その観点からすると、2026年の規約大変更は、単調なレースを展開を再び呼び戻すことになってしまうかもしれない。

2024年F1第10戦スペインGP 決勝スタート

 以下の二つの表は、レッドブルを起点とした各チームの平均ラップタイム差である。序盤5戦とマイアミGPからの5戦で、アストンマーティンとザウバーを除く7チームが、レッドブルに対して差を縮めていることがわかる。

■第1戦バーレーン~第5戦中国の平均ラップタイム差
レッドブル
フェラーリ     + 0”338
マクラーレン    + 0”450
アストンマーティン + 0”584
メルセデス     + 0”660
RB         + 0”970
ハース       + 1”325
ウィリアムズ     + 1”380
キック・ザウバー   + 1”422
アルピーヌ      + 1”715

■第6戦マイアミ~第10戦スペインの平均ラップタイム差
レッドブル
マクラーレン     + 0”057
フェラーリ      + 0”217
メルセデス      + 0”266
RB          + 0”744
アルピーヌ       + 0”793
アストンマーティン  + 0”835
ハース        + 0”885
ウィリアムズ     + 1”034
キック・ザウバー   + 1”447


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