2017年F1第3戦バーレーンGPは、フェラーリのセバスチャン・ベッテルが勝利。ニッポンのF1のご意見番、今宮純氏がバーレーンGPを振り返り、その深層に迫る──。ライバルからプレッシャーを受けるメルセデスに生じた綻びとは。
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フェラーリが首位奪還。表彰台で勇ましい国歌が流れると、チームスタッフ全員が声を張り上げた。「イタリアの兄弟よ、イタリアは今日目覚めた~隊列を組むのだ~イタリアが呼んでいる」。
セバスチャン・ベッテル優勝・2位・優勝=68点、ルイス・ハミルトン2位・優勝・2位=61点。フェラーリはキミ・ライコネン34点を加え102点、メルセデスはバルテリ・ボッタス38点を加え99点。開幕3戦目でシリーズリーダーに立った。
最近では08年開幕戦に敗れたが続くマレーシアGPとバーレーンGPに2連勝、さらにスペインGPとトルコGPまで4連勝している。ほぼ10年前のことだ。まさに国歌のようにここで『フェラーリは目覚めた』――。
ボッタス81戦目初PP、ハミルトン2位、メルセデス勢が最前列を占拠するのは47回目(フェラーリは55回)。3位ベッテルはなんとしても2列目・奇数側からこの壁を突破しなければ、勝機を見出せない。
レコードライン上の路面グリップは確実に偶数側よりも高い。彼は中国GPでもスタートに賭け、濡れていた定位置を避けるように左にマシンを止めた(審議対象になるもおとがめなし)。そこまでやるくらい闘争心に燃え、集中しているベッテル。
PPボッタスはやや右向きにノーズを、2位ハミルトンは左向きに止めた。見ていてまずいなと直感した。互いに意識しあっている。すぐ後ろのベッテルにはこれがまる見えだ。ボッタスはスタートで右方向に斜行する“牽制ライン”をとるにちがいない。自分はまっすぐ加速、レコードライン上をキープしたまま1コーナーにはアウトからアプローチ。