2026年のアルピーヌF1のラインアップについて、FIA F2にロダン・モータースポーツから参戦しているアレクサンダー・ダンが、ピエール・ガスリーのチームメイトの有力候補として浮上している。
マクラーレンのリザーブドライバーを務めるダンは、初めてフリー走行1回目に参加した第11戦オーストリアGPほど、第16戦イタリアGPのフリー走行では印象に残らなかった。またF2のレースではあまりに多くのインシデントに巻き込まれたが、アルピーヌのエグゼクティブアドバイザーを務めるフラビオ・ブリアトーレの注目を集めるには十分だった。
ダンは近々アルピーヌのマシンのうち、おそらく2024年仕様のA524に乗る予定で、チームのジュニアドライバーたちとともにTPC(Testing of Previous Cars:旧型車を使用したテスト)に参加するようだ。アルピーヌは集中的なTPCプログラムを実施しており、ポール・アーロンとアルジュン・マイニが多くの走行を行っている。ダンもそのうちのひとつのセッションに参加し、チームのエンジニアによる評価を受ける予定となっている。
1年前のガブリエル・ボルトレートの場合と同様、マクラーレンにはF1にステップアップする準備ができている若いドライバーがいるが、ランド・ノリスとオスカー・ピアストリの両者が長期契約を結んでいるため、彼に与えられるシートがない。マクラーレン・レーシングのCEOであるザク・ブラウンは、ボルトレートがザウバー/アウディのプロジェクトに条件なしで参加している一方で、ダンとは別の契約を結ぶことを望んでいる。ブラウンは1年から2年にわたってアルピーヌに彼を貸し出す用意があり、少なくともノリスの契約が終了する2027年末まではアルピーヌへのサービスを優先したいと考えている。
ブリアトーレにとってこの条件は許容範囲内のようだが、アルピーヌでのレース活動を開始して以来ジャック・ドゥーハンとフランコ・コラピントに起こったことを目の当たりにしたブリアトーレは、3人目のルーキーを乗せることに不安を感じている。ダンが2026年のアルピーヌのシートを掴んだ場合、彼はすぐに結果を出す必要があるが、ベテランドライバーに比べて若いドライバーはプレッシャーにすぐ屈してしまうのではないかとブリアトーレは懸念しているのだ。
また現在も、ブリアトーレはフェリペ・ドルゴヴィッチのマネジメント陣との話し合いを受け入れている。しかしドルゴヴィッチは、アストンマーティンのテストドライバーおよびリザーブドライバーとして3シーズンにわたり非常に多くの走行を経験しており、経験の面でダンと同列に扱うことはできない。キャデラックのふたつ目のシート争いでセルジオ・ペレスに敗れたドルゴヴィッチは、ようやくアルピーヌからグリッドに立つ最後のチャンスを手にしたが、3年間控えの立場にいたことから、フルタイムのレースに復帰することが彼の最優先事項となっており、来年はフォーミュラEかWEC世界耐久選手権に移る可能性が高い。
ペレスとバルテリ・ボッタスがアルピーヌのオファーを断った後、ブリアトーレは周冠宇(現在はフェラーリのリザーブドライバー)のマネジメントとの交渉を再開した。周は最近のF1での経験を持っていて、F1に復帰することに熱心であり、他のカテゴリーでレースをすることにまったく関心を持っていない。依然としてF1チームへの投資を検討している中国の自動車メーカー『吉利』との長期にわたる交渉により、元キック・ザウバーの周はふたたび注目を集めることになり、ダンやドルゴヴィッチと並んでブリアトーレの候補者リストに入ることとなった。
しかし、第15戦オランダGPとイタリアGPでのコラピントのパフォーマンスは、彼がA525の扱い方を学んでいることを証明している。そのため、彼が猶予を得て、来年もガスリーのチームメイトとして残留する可能性が完全に消えたわけではない。



