松下信治にとってバクーは苦い思い出のある場所だ。昨年レースをリードしながらセーフティカーからのリスタートで再三にわたってミスを犯し、無得点に終わったばかりか次戦出場停止のペナルティまで科せられ、シーズンの流れが大きく変わってしまった。
本当に今年の松下はアグレッシブに生まれ変わったのか。まさにその真価が問われるレース週末だったのだ。
初日から好調な滑り出しを見せた松下は予選で2番グリッドを獲得してみせた。
「大きなミスもなく1周をまとめられました。でもクルマの仕上がりは良かったし自分の走りにも自信があったからポールが獲れると思っていただけに悔しいです」
そう言いながらも、0.5秒差でポールポジションを獲得したシャルル・ルクレールの驚異的な速さは素直に認めた。冷静に客観的に事実を見て認める。それができるようになったのも、今年の松下の強さと安定感に繋がっている。
2番グリッドから臨んだ土曜のレース1では、得意のスタートが決まらずに5位まで後退。これは使い慣れたクラッチでなかったことが原因で、実は予選開始時にもクラッチの問題でストールに見舞われていた。