F1第8戦アゼルバイジャンGP、ランス・ストロールがルーキーイヤーでの最年少で3位表彰台を獲得した。その理由のひとつは、もちろん上位勢に波乱があったことだが、トップドライバーが自ら脱落するようなサバイバルレースを生き残ったのもまた、ストロールの実力である。
今年からウイリアムズのスペアパーツ・コーディネーターとして現場で部品の管理を行っている白幡勝広は、セッション中はストロール車のサポート役も行い、ストロールの成長を間近で見てきたひとりだ。その白幡は次のように語る。
「F1に来た当初は自信があったんでしょう。でも、実際走ってみたら、なかなか思うように行かなかった。それで本人も周囲の人たちのアドバイスを聞くようになったんだと思う」
ストロールにアドバイスを行っていたひとりが、ルカ・バルディセッリだ。そもそもストロールは2010年にフェラーリのドライバーアカデミー(FDA)の責任者だったバルディセッリによって発掘されたドライバーだった。
その後、F1ドライバーになるために、ストロールがFDAを離れて16年にウイリアムズの育成システムに入ったのに合わせて、バルディセッリもフェラーリを離れ、ストロールの個人コーチ役をスタートさせていた。
「私にはF1のエンジニアの経験と、若手ドライバーを育成してきた2つの経験がある。現在のF1のエンジニアは優秀だが、若手とレースをした経験がないから、若いドライバーがいきなりF1に来ると、戸惑うことが少なくない。私はランスのコーチ役というより、F1のエンジニアが言おうとしていることをわかりやすくランスにアドバイスしているんだ」とバルディセッリは語る。