なぜ、バルテリ・ボッタスはジャンプスタートとして、ペナルティを受けなかったのか。
FOMは直後にリプレイ映像を流し、そこにボッタスのリアクション時間が0.201秒だったという説明を入れた。
FIAは全車にトランスポンダーを搭載し、各グリッドの下に埋設した受信機によって、ジャンプスタートを取り締まっている。またスタートの合図となるシグナルがブラックアウトするタイミングも、コンピュータによってランダムに決められているため、人為的にボッタスに有利になるような操作は行われないようになっている。
ただし、セバスチャン・ベッテルが「人間にはリアクションに費やす一定の時間があり、それは0.2秒程度だと思う」と言うように、たとえブラックアウトの後だったとしても、FIAが定めた一定の時間内にスタートした場合は、それはジャンプスタートと判定される。つまり、FOMが説明した「0.201秒」は、ボッタスが合法的にスタートしたことを意味している。
だが、ベッテルはその数字を疑っている。なぜなら、フロントロウから斜め先にいるボッタスが、ブラックアウトする前に動くのをその目で見ていたからだ。
「0.2秒? 僕は信じない。彼のスタートはもはや人間離れしていたよ」
ベッテルの真後ろにいたダニエル・リカルドも同意する。
「僕は彼(ボッタス)がシグナルに反応したとは思えない。だから僕はバルテリがジャンプスタートしたように見えたと無線で言ったんだ」
確かにリプレイ映像を見ると、ブラックアウトする前に、わずかにボッタスのマシンが動いているように見える。