スペイン在住のフリーライター、アレックス・ガルシアのモータースポーツコラム。2017年F1シーズンのサマーブレイク前までを振り返りつつ、タイトル争いが佳境に入る後半戦を予想する。
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新たなマシンのルックスは素晴らしく、これまでにない速さを見せている。そしてフェラーリ、メルセデスという2チーム間の対決もまた、以前の伝説的な戦いと同じく本物のバトルといった様相だ。
2017年はこれまでのところ、面白いシーズンとなっている。11戦が終わり、残るは9戦。多くの出来事があったが、きっとまだいろいろなことが起こるのだろう。今回はその両方に焦点を当ててみよう。
2017年シーズンの筋書きのなかで最も重要なポイントは、メルセデスの圧倒的な優勢の時代が終わったことだ。まだ9戦が残っており、チームがコンストラクターズとドライバーズの両選手権を制覇する可能性はある。けれども彼らは、2014年から2016年シーズンにかけて見せたような、圧倒的な強さをもって勝利するわけではない。
過去3年間、私たちは圧倒的に強いチームと、何台かのマシンが“メルセデスの代役”として優勝する場面を見てきた(たとえば2014年と2016年はレッドブル、2015年はフェラーリがそうだった)。2017年シーズン、私たちは大きな変化を目の当たりにしている。メルセデスは前半11戦中6戦と、これまでに戦ったレースの“半分しか”勝てていない。
フェラーリはより価値ある4勝をあげており、一方でレッドブルは1勝にとどまっている。レッドブルはタイトル争いには絡んでいないとはいえ、3番目に強いチームが勝てるということは、F1がわずかながらも極端な状況ではなくなってきていることの証拠である。
メルセデスはこれまでのところ最も競争力の高いマシンを有しており、シーズン後半も優勝候補であり続けるだろう。オーストラリア、バーレーンではフェラーリが優勝したが、サーキットの特性やチームの戦略、ドライバーによるレースの組み立てが物をいう状況だった。またモナコ、ハンガリーについては単純に、『SF70H』の性能に適したサーキットだった。
フェラーリのマシンは気温が高く、曲がりくねったコースを好むため、シンガポールは3度目の急上昇をもたらしてくれるだろう。そして暑ければの話だが、マレーシアでもその勢いを維持できるはずだ。それ以外の残るレースはメルセデスにより適しているため、彼らが間違いなく優勝候補となるだろう。
しかし今シーズンは、レースに対する考え方がマシンと同じくらい重要だ。メルセデスは両ドライバー同士の戦いを許している(互いにポイントを奪い合うこともある)。フェラーリの場合は、エースドライバーのチャンスを最大限に生かすことに、すべてを注ぎ込んでいる。