高速のスパ・フランコルシャンでメルセデスAMG有利の下馬評は良い意味で裏切られた。メルセデスAMGが予選モードでパワーユニットの出力を向上させる予選ではポールポジションに手が届かなかったが、決勝でフェラーリはメルセデスと対等に近いレースを演じてみせた。
セバスチャン・ベッテル(以下、VET)「今のところ彼(HAM:ルイス・ハミルトン)についていけるよ、問題ない」
スタート直後のケメルストレートでオーバーテイクはならなかったが、ベッテルはハミルトンに離されることなく1.6秒差でついていく。つまり、アンダーカットが可能なギャップだ。
10周目、各車に左フロントタイヤのブリスターが出始める。
フェラーリ(以下、FER)「テレビ映像を見る限りではHAM、RIC(ダニエル・リカルド)にブリスターが出ている」
VET「僕も少し出ているよ」
1ストップ作戦ならば第1スティントの想定周回数は14周。アンダーカットを仕掛けるなら動き出さなければならないタイミングを迎えた12周目に、メルセデスAMGがアンダーカット阻止のため先に動く。
メルセデス(以下、MGP)「OKルイス、ハンマータイムだ」
ハミルトンが12周目にピットインしたため、ベッテルは14周目まで引っ張る。しかしウルトラソフトは新品ソフトの1秒落ちまでペースが低下しており、当然オーバーカットは不可能だった。
一方で当初から一発逆転を狙って2ストップ作戦を計画していたというレッドブルは、ウルトラソフトのデグラデーションが大きくないことを確認した上でダニエル・リカルドをスーパーソフトタイヤに換えた。
レッドブル(以下、RBR)「デグラデーションはとても良さそうだ」
RIC「了解」
RBR「デグラデーションを見ると、SSで行ける。フロントウイングはアグレッシブなセッティングにするよ」
これで他車より1ステップ柔らかいタイヤでリカルドがハイペースで飛ばす。