イタリアGPが終了したこの1週間は、ホンダの将来を決める重要な7日間となりそうだ。レース終了後、フェルナンド・アロンソは「マクラーレンにとって決断を下す重要な1週間になるだろう。シンガポールGP前に、何か話せるといいね」と語った。
当初、ホンダをめぐるさまざまな噂のデッドラインはイタリアGPのレース後になると言われていた。それはトロロッソが来年のパワーユニットを変更する場合の締切が9月3日の18時に設定されていたからだ。つまり、それはホンダがマクラーレンとの関係を解消し、2018年はホンダがトロロッソにパワーユニットを供給し、トロロッソが使用していたルノー枠をマクラーレンが手にすることを意味する。
しかし、ホンダは土日に決定はできないとの理由から、期限が延期されているという。ただし、それは長くても1週間程度。それがアロンソの「シンガポールGPまでに」という言葉につながっている。
モンツァを訪れていたホンダの山本雅史モータースポーツ部長も「登山に例えれば、もうすぐ山頂というところにいる」と、決定が間もないことを示唆した。
「イタリアGPに来る前、日本でもさまざまなミーティングをしてきました。その中にはマクラーレンのメンバーとも会議をしましたし、私は何度も八郷(隆弘/本田技研工業社長)とさまざまな相談をしています」
では、ホンダはとのような決断を下すのか?
「私の仕事のスタンスはお互いにウィン・ウィンになること。ホンダだけではなく、相手もハッピーになるにはどうしたらいいのか。マクラーレンにはマクラーレンの考え方があり、ホンダにはホンダのやり方がある。それをどうやって理解しあえるか。だから、契約を盾に自分たちの主張だけをゴリ押ししたくはありません」
マクラーレンがホンダとの関係を解消したいのは、公然の秘密だ。もちろん、ホンダのこの3年間のパフォーマンスを考えれば、彼らがホンダを信用できなくなるのは当然だし、そのよう思いで関係を続けても、双方にメリットはないことを自明の理だ。
一方で、F1は契約の社会であるので、契約書を無視することはできない。ホンダはマクラーレンと長期の契約があり、それを破棄する場合は多額の違約金が発生する。
それをどう処理するか。また、トロロッソにホンダがPUを供給する場合、ギヤボックスをどうするのか。山本部長が「山頂は見えているが、その先が絶壁かもしれない」と、慎重な態度を崩さないのはそんな理由があるのだろう。