マレーシアGPの予選でセバスチャン・ベッテルがQ1ノータイムに終わり、最後尾からスタートすることになったとき、多くの人は「タイトル争いは事実上、終わった」と感じたはずだ。
だが、日曜日のレースを終えて、34点にポイント差を広げたにも関わらず、レース後のルイス・ハミルトンに、シンガポールGPのときのような笑みはなかった。
「マレーシアGPで僕たちはペースを発揮することができなかった。まだ5戦ある。僕たちがやるべきことはたくさんある」
どんな状況でも、会見では常にポジティブな対応をするトト・ウォルフ(エグゼクティブディレクター/ビジネス)ですら、マレーシアGPのレース後は悲壮感が漂っていた。
「われわれはフェラーリを襲った不運に乗じて選手権で優位に立ったが、今週末のわれわれにはレッドブルとフェラーリに挑めるだけのペースがなかったことを忘れてはならない。レース後のブリーフィングではチーム全員が危機感を感じていた」
その後、チーフレースストラテジストのジェームス・バレスと話す機会があった。バレスはシンガポールGPでは「メキシコGPとアブダビGPはフェラーリが手強い存在となるだろう」と語っていたが、「マレーシアGPは問題ない」とも言っていた。にもかかわらず、なぜメルセデスはマレーシアGPで失速したのか。
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