ちょっと毒舌なF1ジャーナリストがお届けするF1の裏話。アブダビGP編です。
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2017年最後のレースは、今季最悪のレースでもあった。あるいは、ここ数年間で最悪だったかもしれない。
現代的なサーキットの多くは、ゴージャスな施設やナイトレース用の照明のようなギミックばかりに熱心で、ドライバーにオーバーテイクがしやすい場所を与えるのを忘れている。アブダビでは、その事実があらためて浮き彫りになったのだ。
その責任の一端がクルマにもあることは、論をまたない。さらに言えば、それはコース上でのオーバーテイクが難しくなるようなクルマを作らせている、不可解なレギュレーションのせいだ。
しかし、その方面では良い知らせもある。アブダビで土曜日にロス・ブラウンと話をしたところ、彼は「次の新レギュレーションでは、クルマ同士の接近戦を可能にすることを最優先項目のひとつにする」と明言した。ただ、ロス自身も認めていたが、この問題を短期的に解決するのは難しそうだ。
アブダビのパドックの雰囲気は、やや気の抜けた感じを否めなかった。選手権タイトルの行方はすでに決まっていて、パドックにいる誰もが全20戦の長すぎるシーズンを経て、クタクタに疲れ切っていたからだ。
それでも、木曜の定例記者会見に集まったルイス・ハミルトン、セバスチャン・ベッテル、ダニエル・リカルドの3人は上機嫌だった。ルイスが、シーズン中のコース上でのオーバーテイクについてセブをからかうと、さらにダニエルはこう発言して笑いを取った。「何しろ、ここにいる3人を合わせると、全部で8回も世界選手権タイトルを獲得しているからね!」(言うまでもなく、リカルドは一度もタイトルを獲っていない)。