スペイン在住のフリーライター、アレックス・ガルシアのモータースポーツコラム。2017年のF1は新しい黄金時代の始まりだというガルシア。リバティ・メディア運営の2年目となる2018年はさらにF1人気が加速していくだろうか?
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データに最も意味があるF1のようなスポーツで、数字が常にすべてを物語るわけではない状況を見るのは非常に興味深いものだ。
2017年はまさにそうだった。2017年シーズンは2016年に比べてオーバーテイクの数が少なく、チャンピオンと2位のポイント差が大きく開いたのだ。
一見したところ、今年は面白みに欠ける年だったと思うかもしれない。しかし2017年シーズンは、名レースへの真の回帰の年であり、F1の新たな黄金時代の始まりだと私は考えている。リバティ・メディアは素晴らしい商品を手にしており、彼らがうまく宣伝すれば、F1人気は再度上昇するはずだからだ。
2013年以来初めて、異なるチームの2人のドライバーが、チャンピオンシップでタイトルを争ったのを我々は目にした。ルイス・ハミルトンとセバスチャン・ベッテルのタイトル争いは、誰もが世界選手権に期待するようなエキサイティングなものだった。
戦いにおいては、メルセデスもフェラーリもそれぞれ独自の強みと弱みがあり、異なる戦略を持っていた。2017年シーズンは開幕当初からスリルがあった。ベッテルがタイトル争いに勝ち、3年間“余裕で”タイトルを獲得してきたメルセデスを最終的に打ち破る方が、良い筋書きだったと言うのは簡単なことだ。
だがハミルトンがタイトルを獲得したおかげで、2018年はグリッド上に4度の世界チャンピオンが2人いることになる。これは今までにないことだ。すでに2018年の戦いの準備は整っている。
2017年シーズンでF1ファンが唯一落胆したのはアジアラウンドのレースだろう。メルセデスに戦いを仕掛けていたフェラーリは、3レースにわたって沈み込んでしまったからだ。
まずシンガポールGPではスタートでアクシデントがありベッテルとライコネンがダブルリタイア。続いてマレーシアGPでは技術上のトラブルが発生し、グリッドに付く前にライコネンがリタイアしてしまった。
そして最後の災難は日本GPだ。アジアラウンド最後のレースでもベッテルのマシンにトラブルが発生し痛恨のノーポイントに終わってしまったのだ。これによりベッテルのタイトルの望みはほとんど潰えてしまった。
最終的な結果はどうであれ、ベッテルとハミルトンがシーズン最後のレースまでタイトルをかけて挑み合うのを見ることができたら素晴らしかっただろう。