F1iのテクニカルエキスパート、ニコラ・カルパンチエが各チームの2018年F1ニューマシンを分析。今年から導入されるコクピット保護システム『ハロ』や規制されたシャークフィンなど、気になる部分をピックアップ。
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全10チームのトップを切って、ニューマシンVF-18を発表したハース。しかし発表された画像やイラストでは肝心なパーツが単純化されたり隠されたりしており、すべてが明らかにされたわけではないようだ。一見すると前年型にかなり近いが、一方でサイドポッドを始め、去年のフェラーリを参考にした部分も随所に見受けられる。
・濃厚な『デジャビュ』感
第一印象で最も目を引くのが、サイドポッドの空気取り入れ口の形状だろう。明らかに昨年のフェラーリSF70のそれを、継承したものだからだ。モノコックのかなり後方に、垂直に位置しており、正面から見るとアルファベットの『C』型をしたデフレクターが前方に取り付けられている。これはカーボン製のサイドインパクトストラクチャーを、包み込む役割も果たしている。
FIAの技術規約で装着が義務づけられているサイドインパクトストラクチャーは通常、空気取り入れ口の上に付くのが普通だ。しかし昨年型のフェラーリとハースのニューマシンでは、やや下方に位置している。その結果、開口部のデザインの自由度が広がり、サイドポッド下部からマシン後部への空気の流れがいっそうスムーズになっている。
・モノコックはハースオリジナル
ハースがマラネロの風洞を使用し、さらにいくつかのパーツを購入しているのは誰もが知るところだ。しかしF1スポーツ規約別項6条に従うなら、モノコックやサバイバルセル、ノーズ、フロア、ディフューザー、カウル等は自前で開発しなければならない。ハースの場合、これらのパーツはイタリアのダラーラ社が委託製作している。
・ハロは整流より抵抗減少
ハースVF-18は『ハロ』も特徴的だ。空気の整流効果を狙うデフレクター的な役割ではなく、できるだけ空気抵抗を減らす流線型デザインにしているのだ。
レギュレーションでは最大幅2cmまでの空力パーツを、ハロに取り付けてもいいことになっている。乱流によるエンジンへの吸気効率低下を防ぐ措置で、昨年のアブダビテストではザウバーがこの解決法を試していた。 一方でマクラーレンとトロロッソ・ホンダは、違うやり方をトライした。
VF-18ではハロからできるだけ遠ざけようとするかのように、ミラーの支柱がかなり長くなっている。より良好な視界確保の目的以外に、ハロによって生じる乱流を少しでも整えようという意図もありそうだ。