十分な走り込みが行えなかったバルセロナ合同テスト1回目(2月26日~3月1日)。マシンの実力を評価するのは、3月6日からスタートする2回目の合同テストを待つとして、2018年のパワーユニットの勢力図はどうなっているのかを検証してみたい。
1回目のテスト最終日にF1が発表した最高速は以下の通りだ。
Pos | Driver | Speed |
---|---|---|
1 | マグヌッセン(フェラーリPU) | 336.4km/h |
2 | ベッテル(フェラーリPU) | 334.3km/h |
3 | ハミルトン(メルセデスPU) | 333.3km/h |
4 | ガスリー(ホンダPU) | 333.3km/h |
5 | ストロール(メルセデスPU) | 331.2km/h |
6 | ペレス(メルセデスPU) | 331.2km/h |
7 | ルクレール(フェラーリPU) | 329.2km/h |
8 | ボッタス(メルセデスPU) | 326.2km/h |
9 | アロンソ(ルノーPU) | 324.3km/h |
10 | サインツ(ルノーPU) | 320.4km/h |
11 | エリクソン(フェラーリPU) | 320.4km/h |
12 | シロトキン(メルセデスPU) | 319.5km/h |
13 | バンドーン(ルノーPU) | 316.7km/h |
14 | フェルスタッペン(ルノーPU) | 313.0km/h |
15 | ヒュルケンベルグ(ルノーPU) | 313.0km/h |
この数値は、スピードトラップと呼ばれるホームストレートエンドで計測されたものだ。直線でのスピードは馬力も関係しているが、それ以上に大きな影響を及ぼすのが、空力。ウイングのフラップの上げ下げひとつで、速度が数km/hから十数km/h上下する。そのため、スピードトラップ地点での速度だけでは、4社のパワーユニットの馬力を比較することはできない。
ただし、あるチーム関係者によると、「カタロニア・サーキットには、パワーユニットの性能を推し量る良い場所が別にある」という。それはフィニッシュラインの通過スピードだ。いわゆるセクター3地点の最高速である。そのエンジニアは理由をこう説明する。
「カタロニア・サーキットはセクター3にシケインが設けられてから、最終コーナーがほぼ全開で行けるようになった。しかも、路面が再舗装された今年はよりグリップ力が増したため、ダウンフォースがある・なしに関係なく、ほとんどのマシンが全開となった。さらにカタロニア・サーキットのフィニッシュラインは最終コーナーを立ち上がってすぐにあるため、空力の影響を受けにくい。こういう場所にセクターが設置されているケースは珍しく、エンジンの馬力を分析するのにいいんだ」
では、フィニッシュラインの通過速度がどうだったのか? 2台走っていたチームは速い方の1台のみにして比較してみた。
Pos | Driver | Speed |
---|---|---|
1 | ベッテル(フェラーリPU) | 291.1km/h |
2 | ストロール(メルセデスPU) | 291.1km/h |
3 | ハミルトン(メルセデスPU) | 288.0km/h |
4 | ペレス(メルセデスPU) | 288.0km/h |
5 | ルクレール(フェラーリPU) | 286.4km/h |
6 | マグヌッセン(フェラーリPU) | 284.9km/h |
7 | ガスリー(ホンダPU) | 282.7km/h |
8 | アロンソ(ルノーPU) | 282.7km/h |
9 | サインツ(ルノーPU) | 279.7km/h |
10 | フェルスタッペン(ルノーPU) | 274.8km/h |
これを見ると、フェラーリとメルセデスがほぼ同じで、ルノーとホンダが並んでいるのがわかる。つまり、1回目テストで走らせたPUを見る限り、少なくともフェラーリのワークスPUは、ピークパワーという点ではほぼメルセデスに肩を並べるレベルに達したと言っていいだろう。
そして、ホンダもテストの時点ではルノーと遜色のない性能を披露していたことがわかる。トロロッソの2人のドライバーが異口同音にホンダのパフォーマンスを賞賛しているのはお世辞ではないようだ。