FIAのレースディレクター、チャーリー・ホワイティングによると、コクピット保護デバイス「ハロ」の導入が延期された主な理由は視界に関する懸念であり、今後はドライバー全員がこのデバイスをテストできるように計画中だという。
木曜日に開かれた会合でストラテジーグループは、このデバイスには来年から全面的にF1に導入するには、まだ未完成な部分が多いとして、来季からの採用を否決した。しかし、ホワイティングはこれについて、「さらに2019年以降へ先送りされることは絶対にない」と述べた。
また、このデバイスを実際にコース上で試したのは、いまのところフェラーリとレッドブルだけで、それもほんの数周にすぎない。その点を考慮して、ストラテジーグループは、正式導入を決める前にドライバー全員にこのデバイスを経験させる必要があるという点で合意した。
ホワイティングは、今季終了までの全グランプリの週末で、このデバイスをテストする計画を立てることを求め、そのどこかの段階において、各チームがデバイスを装着したクルマで、ひとつのプラクティスセッション全体を走れるようにしたいと語っている。
「すでにルールは用意され、テストも行われてきた。ストラテジーグループとしては、まだドライバーの大半があのデバイスを経験していないことが唯一の気掛かりとなって、同意しきれなかったようだ。それは確かにそうかもしれない。このデバイスを適切な形で導入するには、彼らのインプット(意見や感想)が必要だ」
「私たちは、スパとモンツァで複数のクルマにデバイスを装着して走らせるという案について、各チームに打診していた。だが、それは導入を2018年まで遅らせることが決まる前の話だった。今後はすべてのサーキットで、そしてすべてのチームがシーズン中のどこかの時点でデバイスを経験できるように、もっと先を見渡した計画を立てたい。また、今年中にすべてのドライバーが、ひとつのフリープラクティス全体を通じてこのデバイスを試せるようにすることを、明確に決めておきたいとも思っている」
「そうしたテストで使われるのは、すべて同じ形状の標準バージョンのハロだ。ただし、それらはダミーであり、実際に製作されるハロそのものではない。すでに図面はチームに提供されているので、実物がどのくらいの大きさで、どのようにマウントすべきか、チームは正確に知っている。ダミーの製作は各チームに任されることになるだろう」
レッドブルのリザーブドライバーで、GP2の選手権リーダーでもあるピエール・ガスリーは、先日シルバーストンで行われたインシーズンテストで、このデバイスを装着したマシンを走らせた。ホワイティングによると、ガスリーの感想は「視界は良好とは言えない」というものだった。
「けれども、彼はたった2周しかしていない。私としては、どのクルマにも装着されるようになれば、ドライバーたちはすぐに慣れてしまうものと予想している」と、ホワイティングは言う。
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