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F1 ニュース

投稿日: 2018.03.18 12:00
更新日: 2018.03.16 16:25

もうホンダのせいにはできない。名門マクラーレンの前途多難な船出/F1オフシーズンテスト総括(5)

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F1 | もうホンダのせいにはできない。名門マクラーレンの前途多難な船出/F1オフシーズンテスト総括(5)

 オフシーズンテストが終了し、あとは3月23~25日に開幕するF1オーストラリアGPを待つのみとなった。順調にテスト項目を消化したチームもあればトラブルで走れなかったチームもあり、マシンの仕上がり具合が気になるところ。全6回に分けて各チームの開幕戦の展望を紹介。第5回は今季ホンダPUからルノーPUに変更したマクラーレンだ。 
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 テスト初日の走り出しには、右リヤタイヤの脱落。2日目、エンジンのエキゾーストを固定するクリップが壊れてカウル内が異常過熱。3日目は降雪もあった低温下で、ほぼテストとはならず。4日目でどうにか、ふたりのドライバーが交代で161周の周回を稼ぐ。

 これで信頼性の問題は解決されたかと思いきや、4日間のインターバルを経て再開となったテストの2回目日程では、初日まず電気系に問題を抱え、さらに油圧トラブルにも見舞われる。2日目はシャシーサイドのオイル漏れでダメージがパワーユニットにもおよび、交換作業を強いられることにもなった。

 3日目こそ順調だったが、テスト打ち上げとなる最終日にはターボが壊れてまたもセッション中にパワーユニットの交換作業。このターボが故障した要因も、前々日のシャシーのオイル漏れが発端だったとの疑いをマクラーレン側が認めた。

 8日間しかなかったバルセロナ新車テストの期間中、トラブルなく走行を終えられたのはわずか2日のみ。開幕前の貴重な走行機会を阻害したのは、間違いなくシャシーの信頼性欠如だ。マクラーレンの新車『MCL33』は、不安のなかで2018年のシーズン開幕を迎える。

 トラブル多発はクルマのパッケージングにも問題があるのではないか--ホンダと組んでいた過去3年間でも言われ続けていた説だ。新パートナーのルノーと挑んだ初テストで、その指摘があながち間違いでないことをマクラーレンは露呈した。

今季はルノーPUを搭載して戦うマクラーレン

 さらに言えば、チームおよび企業体制の変化だ。ロン・デニスが抜けたことで、経験を積んだ古参スタッフたちが数多く流出したとの事実もある。ナットの不良によるタイヤの脱落やエキゾーストクリップの破損など、パーツの品質管理にすら支障が出ているとしか思えない。昨年までは不振の責任の大部分をホンダに押しつけてきたわけだが、かつての名門チームは今年も前途多難な船出だ。

 だが、そのなかにも光はある。テスト最終日、フェルナンド・アロンソは当日2番手となる1分17秒784のタイムをマークした。というより、これはテストの全期間を通じて3番手のタイムだ。上位2名は、いずれもフェラーリ勢。そして何より1分17秒台にタイムを入れたというのは、アロンソを含めて三者だけとなる。

 メルセデスのような『本気のアタック』を行なわなかった陣営もあるとはいえ、新車MCL33は一発のスピードならば中団の混戦状態を抜け出せるレベルにいるのかもしれない。

 あとは開幕戦までの短い期間、あるいは遅くともシーズンの序盤段階で“組織”がすべてのトラブル要因を洗い出し、その克服がなるか。クルマのハード面だけではない、人的なことについてもだ。

 もう、過去の名声にすがりついている場合ではない。すべてをやり尽くすことでしか、マクラーレンの名前に新章は訪れないのだ。


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