技術ウォッチャーの世良耕太氏が、オフシーズンテストで走行した2018年ニューマシンの気になる技術トレンドを解説。
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2017年のメルセデスとトロロッソが採用した新機軸が延長型アップライトだ。フロントのアップライトから上方に腕を伸ばし、高い位置でアッパーウィッシュボーンを支えている(写真番号:1)。2018年型マシンでこれに追随したのがザウバーだ。
アッパーウィッシュボーンを高い位置にレイアウトするのが目的ではなく、ロワーウィッシュボーンを高い位置に配置するのが、この新機軸の狙い。リヤに向かう空気の通り道から、障害物(すなわちロワーウィッシュボーン)を少しでも邪魔にならない位置に置くためだ。
アッパーウィッシュボーンが従来の位置のままロワーウィッシュボーンの位置を高くすると、アッパーとロワーのスパンが狭くなり、フロントタイヤからの入力を受け止めるのがきつくなる。入力を受けた際の剛性が足りないと、コーナリング中のタイヤは意図しない動きをし、設計者やドライバーが意図しない挙動になる。
そうならないよう、上下アームのスパンを確保してしっかり支えるために、高い位置にずらしたロワーウィッシュボーンに合わせて、アッパーウィッシュボーンの位置を高くしたのだ。相応のスパンを確保したとはいえ、ザウバーC37のアームはかなり大きな断面が確保されているのがわかる。17年以降のワイドタイヤが発生するグリップは大きく、入力が大きい(旋回スピードが高い)のだろう。