2018年F1開幕戦オーストラリアGP、予選で圧倒的な速さを見せたルイス・ハミルトンだったが、決勝ではまさかの2位という結果に。F1ジャーナリストの今宮純氏がオーストラリアGPを振り返り、その深層に迫る──。
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豪速を見せつけたルイス・ハミルトンの予選PPショーと、強運を引き寄せたセバスチャン・ベッテルの逆転決勝ドラマ。見どころたっぷりな幕開きだった――。
勝機を逃さないフェラーリ、正しいタイミングでやるべきことをやった。25周目途中でバーチャルセーフティカー(VSC)状態になったとき、首位ベッテルは2位ハミルトンをコントロールラインでは11.306秒リードして通過。
ここまで引っ張ったウルトラソフトを即26周目にソフトに交換、ピットストップ所要時間21.787秒。一方ハミルトンは後方で“VSC走行モード”を遵守、この26周目は1分57秒688かかった。単純な言い方として、2位ハミルトンは首位ベッテルより長いコース距離を、そのVSCモードで行かねばならない。
フェラーリは手際よくタイヤ交換、ベッテルの26周目ラップは2分05秒108。7秒以上ハミルトンよりラップタイムは劣るがリードタイム分の“11.306秒”で十分にカバーでき、首位安泰のまま1コーナーに向かった。VSCチャンスをものにしたのだ。
我々の手元にリアルタイム表示の“GPSポジション・データ”は無い。だがビッグチームは多数の専門スタッフが現場や、ファクトリーでそれを監視している。ここぞと動いて勝機を握りしめたフェラーリ、油断していたのはメルセデスか……。
彼らはベッテルに対するギャップを詰めておくべきだったのだ。でもハミルトン自身はロング・スティントを意識せざるを得ず、あまりペースを上げないままでいた。