ルイス・ハミルトン(メルセデスAMG)がセバスチャン・ベッテル(フェラーリ)に逆転を許した原因として、メルセデスのトト・ウォルフ(エグゼクティブディレクター)は、「バーチャル・セーフティカー(VSC)出動時にポジションを維持するために必要なギャップとしてコンピュータのソフトウェアがはじき出した数字に誤りがあった」ことを認めた。
ピットストップの際のロスタイムというのは、通常のレース走行とVSC出動時では異なる。レッドブルのクリスチャン・ホーナーによれば、「メルボルンのピットストップロスタイムは23秒だが、VSC出動時には13秒にまで短縮する。つまり、セバスチャンは10秒というボーナスをもらって逆転できた」と、レース後に解説した。
だが、話はベッテルがVSCだけによって逆転したという単純なものではなかった。
2番手と3番手で追走するフェラーリ勢が異なる戦略を採ってくることはメルセデス陣営も想定していた。そのとおり、2番手のキミ・ライコネンがアンダーカットを狙って18周目にピットイン。メルセデスのピットはアンダーカットを阻止するため、ハミルトンを翌周の19周目にピットに呼び、ライコネンの前でコースに復帰させた。
このときメルセデス陣営はステイアウトしていたベッテルとのギャップも当然ながら、警戒していた。