F1のチーフテクニカルオフィサーを務めるパット・シモンズは、メルセデスはタイヤマネジメントの問題を長年に渡って抱えてきたものの、エンジン出力という大きな優位性がこの問題を隠してきたのだと考えている。
今シーズンのメルセデスは、F1のハイブリッド時代が始まった2014年以降では初めて、開幕からの3戦で一勝もあげられずにいる。W09はおおむねフェラーリに先行を許しており、第3戦中国GPではレッドブルにも優勝をさらわれた。
メルセデスF1チームのトップであるトト・ウォルフは、2018年型マシンは前年型に見られたような気難い特性は受け継いでいないと言う。しかしながら、パフォーマンスやタイヤにおける一貫性のなさは、今シーズンもチームにとって大きな心配の種であるようだ。
シモンズにとって、これは何ら新しい問題ではない。2013年以降、長くチームに深く根付いたままだというのだ。
ベネトンとルノーの技術部門を率いた後、現在はロス・ブラウンのもとでF1の技術関連シンクタンクのトップを務めるシモンズは、「近年のメルセデスを振り返ると、彼らが一度も他チームよりも優位に立てていない要素はタイヤマネジメントだ」と語る。
「ハイブリッド時代よりも前の彼らには、今のようなパワーユニットの優位性はなかった。当時はタイヤが適正に管理されていなければ、良いレースができていなかった」
「タイヤマネジメントの問題は、2014年から2016年にかけては目立たなかった。エンジン出力という大きな優位性のおかげだ」
「その後、昨年になってメルセデスのマシンは“ディーバ”と呼ばれるようになった。それはどういうことか? 私の考えでは、あるレースウイークと次のレースウイークとの間でパフォーマンスにばらつきがあるとき、それは空力や車両ダイナミクスなど、その他の理由では説明しきれないということだ」