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F1 ニュース

投稿日: 2018.05.01 11:43

優勝目前のボッタスに襲いかかった悪夢【今宮純のF1アゼルバイジャン決勝分析】

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F1 | 優勝目前のボッタスに襲いかかった悪夢【今宮純のF1アゼルバイジャン決勝分析】

 サバイバルレースとなったF1第4戦アゼルバイジャンGPはルイス・ハミルトンが優勝、前戦の中国GPで勝利を飾ったダニエル・リカルドはマックス・フェルスタッペンとクラッシュし、無念のリタイアに。F1ジャーナリストの今宮純氏がアゼルバイジャンGPを振り返り、その深層に迫る──。 

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 荒れるアゼルバイジャンGP、風に吹かれ、風と共に去ったのは昨年と同じ6台ものマシン。世界最速・最長の公道コースでのサバイバル戦だった。

 ラスト3周だけトップに出たルイス・ハミルトンが勝利を勝ちとり、中盤から完璧にリードしたバルテリ・ボッタスは完走最下位の14位にダウン。パンク(バースト)の末に、市街の道端に消えた。

 最後まで誰が勝つか分からないスリリングなレース、それが現実になった。異変はスタート30分前、ルコネサンス・ラップ開始と同時にあちこちで起きていた。

 ゆるゆるとした速度で何台もがラインを外し、壁際まで滑った。風向きについてピット側から無線が頻繁にとびかう。コースはまるでアイススケートリンクのようだ……。

 気象用語で言う強風(風速15M前後)が“風力5以上”で吹き付け、ビル風によって風向きも変化して建物が無いセクター3エリアは突風に近い。

 空力性能に特化している今年のマシンは追い風や横風、斜め風に過敏な反応をする。全長5メートル50センチ、全幅2メートルの車体は揺さぶられ、ダイナミック・ダウンフォースのバランスは乱れる。

 ここのフォーメーションラップはおよそ3分50秒。ウオーマーで温められたタイヤがその間に熱を失っていく。ラインをジグザグに変え、コーナーで何度ステアリングをこじっても駄目だ(キミ・ライコネンはこのフォーメーションラップ中に壁をこすったと言っている)。

 誰も一つ目のコーナーで自分のレースを終えたくない。それくらいの理性はある。やや控えめに全員が最初の直角ターンを抜けた後に、低速でも密集状態のまま2から3コーナーで“ボディ・タッチ”が多発する。幅は2メートル、コース幅がとても狭い(小さなバックミラーでは隣もよく見えない)……。


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