F1の開発はとどまるところをしらず、毎グランプリ、新しいパーツが導入されている。F1iのテクニカルエキスパート、ニコラス・カーペンティアーズがスペインGPの週末に見つけた注目のアイテムを紹介、分析する。
●フェラーリ
(1)話題を呼んだハロミラー
スペインGPのアップデートで最も物議を醸したのが、フェラーリの『ハロミラー』だった。昨年リヤウィングがより幅広く、搭載位置も下がったことで、「ミラーでの後方確認がむずかしくなった」との不満が、ドライバーたちから漏れていた。それを受けてFIA(国際自動車連盟)は中国GP後に、ハロへのミラー搭載を許可していた。
各チームの開発エンジニアが、この許可を空力性能向上のチャンスと捕えたとしても不思議ではない。しかしフェラーリの場合は、いささか拡大解釈し過ぎたといえるだろう。というのもフェラーリのハロミラーは、ミニウィングがハロではなくミラーに取り付けられているからである。このウィングは気流を下方に導く、いわゆるダウンウォッシュという効果を狙ったもので、リヤウィングのダウンフォース向上が期待できる。
しかしミニウィングなどの空力パーツは、『車体への確実な固定』と規定されており、ミラーへの取り付けは完全な規約違反ではないものの、最終的にスペインGPのみの使用許可となりそうだ。