スペイン在住のフリーライター、アレックス・ガルシアのモータースポーツコラム。WEC開幕戦のスパ6時間レースに勝利したフェルナンド・アロンソ、F1王者であるアロンソのデビュー戦は大きな注目を集めたが、今年のル・マン24時間に向けて一抹の不安も感じているようだ。
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私は幸運にもTOYOTA GAZOO Racingの内部からWECの数戦を経験してきている。2016年以来、スパ・フランコルシャンとル・マンのレースに足を運び、同様にモンツァとポール・リカールでのテストデーも取材している。
私はドイツのケルンにあるTMGトヨタ・モータースポーツGmbHのファクトリーも訪問しており、チームスタッフの何人かと話をすることができた。その経験から、自分はトヨタのチーム運営についてよく理解していると思っている。それでも、2018/19年の“スーパーシーズン”がトヨタにとって非常に特別であることは周知の事実だ。
アウディとポルシェがWECから撤退した今、トヨタ勢はル・マン24時間を含めたWEC全体における大本命である。そのことが、フェルナンド・アロンソという存在を引きつけることとなった。彼はLMP1マシンでの初レースで優勝を飾っている。
そしてそこが第一の問題にぶつかるところだ。スペインのプレスは主にアロンソの勝利について報道している。さまざまなウェブサイトや新聞、テレビ番組をざっと見渡すと、アロンソの勝利についての見出しがついている。もし耐久レースの事情をよく知らない人が見れば、ベルギーではアロンソが6時間のすべてをひとりで走行したと思うかもしれない。
しかし、現実はまったく違う。幸い、チームの取り組みの重要性を強調したいと思っているジャーナリストはたくさんいる。中嶋一貴とセバスチャン・ブエミは、一貴の予想外のスピンを除けば、いつものように素晴らしいパフォーマンスを見せた。運良く一貴は遅れを取り戻すことができた。実際にはアロンソは優勝した8号車トヨタTS050ハイブリッドのドライバーの中で一番遅かったのだ。