今回、ムッシュ柴田氏がイギリスにあるホンダF1の拠点『HRDミルトンキーンズ』を訪問してきました。施設の中にはマクラーレン・ホンダ時代の名残も……。
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今回はホンダF1のヨーロッパ前線基地『HRDミルトンキーンズ』の内部を、特別公開しましょう。
シルバーストンサーキットまで、クルマで20分ちょっとという好立地。ミルトンキーンズ周辺には他にもレース関係の企業がそこかしこにあり、いわばイギリスのモータースポーツ産業の中心地です。ちなみにレッドブルのファクトリーも、偶然ですがここからすぐ。レッドブル・ホンダが誕生する来年からは、いっそう緊密にスタッフの行き来ができるわけです。
ホンダF1の日本における開発拠点HRDさくらまでは、5862マイル(約9400km)。物流が発達し、TV会議も頻繁に行われているとはいえ、ヨーロッパから日本はやっぱり遠い。だからこそ、このファクトリーの重要性がいっそう増すわけです。
正面玄関を入ってすぐのロビーには、ホンダF1の歴史を物語る数々の写真とともに、第3期のV8エンジンが展示されていました。
シリンダーブロックには誇らしげに、『メイド・イン・UK』の刻印が。生産はあくまで日本で、イギリスでは組み付けるだけだと思ってたんですが、そうじゃなかったんですね。知りませんでした。
去年までのマクラーレンとの3年間を思い起こさせるような展示は、さすがにないのかなとブラブラ歩いていると……。ひとつだけ、ありました!
当時のホンダ側の総責任者だった長谷川祐介エンジニアへの、マクラーレンからの寄せ書きです。
「親愛なるハセガワさん。マクラーレン・ホンダへのあなたの多大なる貢献に、大いなる感謝の意を表します。いっしょに仕事ができてとても楽しかったし、その思い出が消えることはないでしょう。あなたはマクラーレンの、終生の友です」
幸せな形で終えることはできませんでしたが、少なくともマクラーレンの現場エンジニアたちと長谷川さんとは、技術者同士の信頼関係で結ばれていたように思えます。
このファクトリーの主な役割は、ふたつあります。ひとつがパワーユニットをテストベンチにかけ、レース週末のコンディションにできるだけ近い形でのシミュレーションを行うこと。今回そのテストベンチ、見学はできましたが、残念ながら撮影禁止でした。