今年のドイツGPはこれまでにないほど、ドイツ色を前面に出した演出を行なっていた。スタート直前には、最終コーナーと1コーナーのスタンドにいる観客が全員3色のカードを掲げて、巨大なドイツ国旗をスタンド全体でデザインしていた。
ホッケンハイムリンクでのドイツGPの契約は2008年から10年間。当初はニュルブルクリンクとの隔年開催だったため、開催自体は5回という約束だった。その後、ニュルブルクリンクが財政悪化によって2013年限りでF1から撤退。2015年と2017年はドイツGPは開催されず、今年がホッケンハイムリンクでの最後の開催となっていたからだ。
ホームストレートのグランドスタンドには、『HEIM SPIEL』(ホームゲーム)というカードを掲げて、地元ドイツのセバスチャン・ベッテルとニコ・ヒュルケンベルグを応援していた。
通常、契約最終年のグランプリが契約を延長する場合、最後のグランプリが終了する前までになんらかの発表が行われ、それが行われなかった場合は、翌年以降の開催はないとケースがほとんどだ。
要するに、「来年は開催しません」という発表はない。もし、最後のグランプリが終わるまでに、何も発表しなかった場合は、そのへんの事情を汲んでほしい、というのがこの世界の常識だ。
したがって、日曜日の夜、メディアセンターを後にするときも、スタッフたちへのあいさつもいつものように「また来年」ではなく、少し気を使ってほとんどの人が「またいつか会おう」と言い、ホッケンハイムリンクのスタッフも「そうなればいいね」と返していた。