2018年、ホンダF1はトロロッソと組んで新しいスタートを切った。新プロジェクトの成功のカギを握る期待の新人ピエール・ガスリーのグランプリウイークエンドに密着し、ガスリーとトロロッソ・ホンダの戦いの舞台裏を伝える。
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前戦メキシコGPのピエール・ガスリーは、パワーユニットとギヤボックス交換による最後尾スタートにもかかわらず、10位入賞を果たした。8月のベルギーGP以来、実に6戦ぶり(!)となる久々のポイント獲得だった。
その結果に関してガスリーは、「もちろんうれしいよ。タイヤもしっかり持たせることができたしね」と言っていた。しかし傍で見る限り、明らかに手放しで喜んでいる感じではなかった。主な理由はふたつあったと思う。
まずはザウバーにまったくかなわず、コンストラクターズ選手権でも抜かれてしまったことだ。終盤にはマーカス・エリクソンを激しく追い立てたが、「コーナー立ち上がりで離されて、まったく仕掛けることができなかった」。
1周のラップタイムでは互角か優っていたにもかかわらず、車体のトラクション性能が劣っているために、早いタイミングでスロットルを開けられず、ザウバーに置いて行かれたのだった。
ガスリーはドライバーズ選手権でもシャルル・ルクレールが7位に入ったことで2点差まで迫られ、こちらもザウバーに追われる展開になっている。
そしてもうひとつの不満が、エステバン・オコンとのバトルだった。
12番手を走っていた終盤、ガスリーはターン4でコースオフを喫する。オコンを抜こうとした際、「幅寄せされて接触を防ぐために、コースをはみ出さざるをえなかった」というのが、ガスリーの主張だ。
しかしスチュワードは審議の結果、お咎めなしの裁定を下した。2台がブレーキング競争となり、ガスリーはブレーキをロックさせてコースオフしたという見解だった。
ガスリーはそれに納得せず、「オコンが相手だと、いつも同じことが起きる」とコメントしている。レース序盤にぶつけられてリタイアを喫した、フランスGPのことが念頭にあったことは間違いない。