F1第20戦ブラジルGPのインテルラゴスのメディアセンターは、少し変わった場所にある。3年前までは、ピットビルの上にあったが、2年前からピットと駐車場の丘の中腹にある倉庫の一角の1コーナー寄りに移動した。
その場所はもともと倉庫ということで窓ガラスの遮音性が低い。自然吸気時代だったらうるさくて仕事にならなかったのだろうが、現在はターボなのでエキゾーストノートを楽しめるくらいのちょうどいい環境にある。
そこで各マニュファクチャラーのエンジン音を聞き比べていたら、ときどき、まったく違ったエキゾーストノートを奏でて2コーナーを立ち上がっていくマシンがあった。そのたびに窓の外を見て、どのマシンかを確認していたら、それがフェラーリの2台のマシンだということがわかった。
その音は常に発しているのではなく、2コーナーの立ち上がった直後に聞こえてくる。しかも、その頻度は2周に1回。つまり、エネルギーを充電するチャージラップではなく、アタックラップの際に発せられる。その音は、エンジンの排気音とはちょっと違った変わった音のため、フェラーリが通過したときは思わず窓の外を見てしまうほど独特なものだった。
通常のターボの排気音が「ボォォォーー」と音で、アクセル開度によって強弱がつけられるが、その独特の音は「バッシャャャーー」という音でアクセル開度とは関係なく、2コーナーを立ち上がった瞬間に自動的に発せられるように聞こえてくる。
この音の存在については、シーズン序盤にメルセデスのあるエンジニアから聞いていたため知ってはいたが、メディアセンターはホームストレートの途中のピットビルの上か、コースが見えないガレージにしかないため、これまでは気がつかなかった。
ただし、コース脇で取材しているカメラマンはその音を以前から聞いていたという。