F1シーズンを転戦していると、いろいろな人との出会いがある。そんな人たちに、「あなたは何しに?」と尋ねる連載企画。今回は7度のNASCAR王者であるジミー・ジョンソンだ。
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アブダビGPの予選後、マクラーレンのホスピタリティハウスで、ちょっとした記者会見が行われた。会見の主役はアメリカのNASCARで“スーパーマン”と讃えられているジミー・ジョンソンだった。
ジョンソンがアブダビにやってきたのは、アブダビGP明けの月曜日、11月26日にバーレーン・インターナショナル・サーキットでフェルナンド・アロンソとお互いのマシンを交換したバトルを行うイベントに参加するためだった。
「ずっとシングルシーターに乗ってみたかったんだ。いきなり乗るのが、F1マシンだなんて、最高だよ!!」(ジョンソン)
ジョンソンは1975年生まれの42歳。これまでNASCARで7度チャンピオンに輝いた経験があるスーパースターだ。そのジョンソンが乗ったF1マシンは、2013年のマクラーレンMP4-28だった。
一方、アロンソが乗ったNASCARは、2018年シーズン、実際にジョンソンがレースしていた48号車。5.86リッターV8でギヤは4速。推定725馬力というモンスターマシンだ。ただし、車重は1451kgと734kg、F1マシンの約2倍もある(MP4-28は642kg)
そのため、ジョンソンは「ブレーキングポイントがまったく違うだろう」と、アブダビに来る前にマクラーレンのファクトリーを訪れて、シミュレーターで特訓を積んでいたという。
どちらが勝つか? と問われたアロンソは、「これは真剣勝負しゃなくて、遊びだから勝敗はない。でも、ジミーはファクトリーでシミュレーターを練習していたというから、かなり真剣なようだね」
「僕はまだF1に集中していてまったく準備はしていないけど、心配はしていない。Hパターンのギヤボックスを運転するのも問題はないよ」と、笑顔でイベント参加を楽しみにしていた。
じつは月曜日のイベントで、アロンソはNASCARに乗り込む前にマクラーレンMP4-28をドライブ。もし、アロンソがこのままF1から引退した場合、最後に乗った最後のF1マシンは、2018年のMCL33ではなく、MP4-28となる。