トロロッソ・ホンダの活躍を甘口&辛口のふたつの視点からそれぞれ評価する連載コラム。レースごとに、週末のトロロッソ・ホンダのコース内外の活躍を批評します。F1第21戦アブダビGPを、甘口の視点でジャッジ。
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トロロッソ・ホンダの最終戦アブダビGPは残念な結果に終わった。残り9周で10番手を走行していたピエール・ガスリーが、車体後方から白煙を上げてストップ。そのままリタイアとなった。
「データ上、エンジンが明らかに壊れたという数値は確認されなかったのですぐに止めずに確認していましたが、オイルプレッシャーが下がり出したので止めました」と田辺豊治F1テクニカルディレクターは肩を落とした。
「完走できなかったことはとても悔しい。しかも、シーズンの最終戦で2日続けて問題を起こしてしまった。レースでのトラブルは土曜日のものよりは深刻ではないが、止まってしまえば原因がなんであれ0点です」
最終戦のトロロッソ・ホンダはトラブルが相次いだ。金曜日はギヤボックスからオイル漏れ。土曜日のフリー走行3回目ではセンサートラブル。予選ではエンジンが1気筒ブロー。そして、日曜日のレースでオイル漏れにより1台がリタイアした。
だが、トラブルは今回が初めてではない。2018年のホンダは昨年よりはトラブルが減ったとはいえ、開幕戦からトラブルを起こしシーズン中も何度か問題を起こしていた。年間で使用したエンジン(ICE)は戦略的な交換があったとはいえ、年間3基を大きく超えて8基にのぼった。
タイトル争いを行なったメルセデス(ルイス・ハミルトン)とフェラーリ(セバスチャン・ベッテル)がともに3基で戦い抜いたことを考えれば、ホンダの信頼性にはまだまだ課題が山積している。
最終戦のアブダビGPはその現実をあらためて露呈させたという点で、決して無駄にはならないのではないかということを、田辺TDにレース後尋ねると、うなずいてこう続けた。
「最終戦を普通に走って、普通に終わって、レース後のミーティングで『来年に向けて、まだやることがあるよね』と言うのと、今回のようにフリー走行3回目ではセンサーの不具合を出して、予選はエンジンにトラブルが起きてQ1落ち。レースでもポイントが取れそうだったのにオイルが漏れてリタイアして、思いっきり打ちのめされて、オフシーズンに入るのでは全然違います」