トロロッソ・ホンダはF1最終戦アブダビGPをノーポイントで終えた。本来の力を結果に結びつけられなかったという点において、今シーズンのトロロッソ・ホンダを象徴するようなレース週末だったと言えるだろう。
予選ではなんとかQ3進出が争えそうな力はあった。しかしピエール・ガスリーのエンジンが壊れ、ブレンドン・ハートレーはタイヤ温度を上手くコントロールできず0.06秒差でQ1敗退となった。
「マシンのフィーリングは良かったしそこまでに0.6秒速かったから11位か12位になれたはずだった。だけど、ターン20出口からターン21までの短いストレートでスロットルを踏んでからブレーキングの前にパワーの低下を感じ始めていて、最終コーナーを曲がって立ち上がりでもう一度スロットルを踏んだけど、文字通り全くパワーが無かった最終コーナーで1気筒が死んでしまったんだ」(ガスリー)
本来のポジションではない16・17番グリッドからの決勝は、1周目の事故の余波でハートレーがフロントウイングを壊してピットインを余儀なくされ、ここからスーパーソフトで最後まで走り切る戦略に切り替えるしかなかった。
問題は、新型翼端板にはスペアがなく、旧型のフロントウイングに換えるしかなかったということだ。バージボードやポッドフィンはもちろん新型のまま。これではマシン全体の空力バランスが狂うのは当然のことだった。
「フロントウイングはスペアが無いから古いスペックに交換しなければならなかったし、新型フロアとの組み合わせになってしまったせいもあってレースを通してマシンのフィーリングは満足できる状態ではなくなってしまったよ。1セットで1レース距離全てを走り切らなければならなくなってしまっただけにタイヤはかなりマネージメントしなければならなかったしポイント争いは難しくなってしまったんだ」(ハートレー)
ハートレーはリスタート前から「マシンがおかしい。データを確認してくれ」と訴え、チームから「問題はない」と言われても「本当か? もう一度確認してくれ」と何度も繰り返し尋ねるほどの違和感を持ったまま走り続けなければならなかった。