レースを愛してやまないファンの方々へ
autosport web Premiumが登場。

詳細を見る

F1 ニュース

投稿日: 2018.12.11 12:07
更新日: 2018.12.11 13:08

スペインにF1を知らしめた王者フェルナンド・アロンソ。18年の軌跡を振り返る【今宮純のF1コラム】

レースを愛してやまないファンの方々へ
autosport web Premiumが登場。

詳細を見る


F1 | スペインにF1を知らしめた王者フェルナンド・アロンソ。18年の軌跡を振り返る【今宮純のF1コラム】

 2018年シーズンをもって、一度F1から離れることを決めた2度の王者フェルナンド・アロンソ。2001年のデビューからタイトル獲得、インディ500出場、そして今年の最終戦アブダビGPまでをF1ジャーナリストの今宮純氏が振り返る。

—————-

■国王も祝福、アロンソの最大功績とは?

 2006年スペインGPは前年初王者となった凱旋レースで、民族大移動のような光景に出くわした。バルセロナ市内からカタロニア・サーキットへの高速道路は大渋滞。普段40分なのに2時間かかった。動かない車列の間からは子供たちの「アローンソ、アローンソ!」の声、お父さんもお母さんもつられて一緒に……。

 レースのチケットはとっくに売り切れ、スタンドが増設されても席が足りない。4年前の2002年にはアロンソはいなかった。2001年デビューの翌年はルノーのテストドライバーだった。それでもスペインGPにはアロンソを目当てに23万人の観客が来た。

 2003年は25万人、2004年、2005年はそれぞれ27万7300人、27万6800人。2006年になると、その数は34万2000人にまで到達。一挙に7万も増えたのだ。周辺道路は早朝から完全にマヒ状態、だから25kmの距離に2時間かかった。

 大観衆の期待に応えてこそスーパースター、2006年はポールポジションから完全勝利。「みんなの前でもっと走り続けていたかった」と胸を張った王者。

 フェルナンドは世界で数々の名勝負レースを戦い、スペインの一般市民に<サーキットのドラマ>を振りまいた。最も若くしてチャンピオンに、それもドイツのあのミハエル・シューマッハーとフェラーリを打ちのめして。余談だがタクシーに乗った際、老運転手が自慢げに笑いを浮かべ話しかけてきた。

「俺のこの古いルノーだって、フェルナンド様が乗ったら、フェラーリなんかより速いぜ(笑)」

 彼ら国民の日常に、簡単に入り込んでいったアロンソ。フットボールや闘牛の国にフォーミュラ・ワンを知らしめたのである。ファン・カルロス国王もフェルナンドのいちファンで、勝つたびに国際電話で祝った。最終戦アブダビGPにも80歳の高齢ながら駆けつけている。

 アロンソに熱狂したよき日々はもう帰って来そうにない。この国の『フェルナンド・ロス』の心情を国王も胸に抱いていたに違いない……。

■2001年は才能の集中。スター街道を駆け抜けた三人のドライバー


関連のニュース