ロマン・グロージャンは、2010年にルノーF1のフルタイムのレースシートを失った後、劇的にキャリアを変えるところだったという。
グロージャンは2009年、ネルソン・ピケJr.に代わって7戦に出場し、すでにF1デビューを飾っていた。2010年にはフルタイムのシートを確保することを期待していたが、そのシートはビタリー・ペトロフに奪われることになった。
「2010年シーズンには、チームのシートを獲得できると期待していた」とグロージャンはThe Players’ Tribuneに語った。
「良いレースをしたと感じていたし、自分は正しい進路にいると思っていた。でも、知っているかもしれないけれど、言ってみればF1では政治が横行しているんだ」
グロージャンはまた、彼が“傲慢”で“巨大なエゴ”の持ち主だという評判をルノーで得ていると聞いて幻滅した。
「実際のところ、それは本当のことではなかった。僕はシャイだっただけだ。僕はただ僕自身でいたよ! だから一部の人々は僕のことをよく思っていなかったんだろう」
「ルノーのチーム代表だったエリック・ブーリエから電話があった。彼はこう言ったんだ。『ロマン、このことを伝えるのは残念だ。だが、我々は今シーズン、このシートについてはビタリー・ペトロフと契約した』」
こうした状況からグロージャンはF1での将来があるのか否か疑問に思うようになり、すぐに劇的な転身を検討した。彼は料理学校に入学するためにパリへ向かったのだ。
「僕は1かゼロかという極端な考えをするところがあるんだ。エリックとの電話を終えた時、僕にとってF1に望みはもはやなかった。ゼロだった」
「F1に出られないのなら、次はどこへ行こう? 当時の僕は今より夢見がちだったんだ。でも自分を信じていた」
「自分のことをよく信じていたから、その日僕はキャリアを変えることができるだろうと思った」
「僕はジュネーブからパリ行きの電車に乗った。当時ガールフレンドだった僕の妻に電話をして、彼女に会いに行くと、そして僕のキャリアについてニュースがあると伝えた。僕はシェフになるとね。そう、シェフだ!」
それは突飛な考えにも思えるが、グロージャンの料理の仕事への熱意は本物であり、深いルーツがあった。