2018年シーズンより栃木県さくら市にあるホンダ技術研究所 HRD SakuraにおいてホンダF1のパワーユニット開発の指揮を執っている浅木泰昭は、この1年間はほぼ計画通りに物事が進んでいたと高い評価をし、レッドブルとの提携が始まる2019年シーズンへの自信を見せた。
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今から1年前の2017年12月、ホンダは2018年に向けて組織を改革した。それまで研究所の開発を指揮しながら現場責任者を兼任していた総責任者というポジションを廃止し、開発と現場を分けた。現場を任されたのがテクニカル・ディレクターの田辺豊治。そしてHRD Sakuraでの開発を指揮することとなったのが執行役員の浅木泰昭だった。
田辺も浅木もホンダF1の第二期を知るメンバー。今回は浅木執行役員に復帰4年目となったホンダの2018年シーズンを振り返ってもらった。
——まず2018年シーズンを終えて、率直な感想をお願いします。
「大変は大変でしたが、ほぼ想定内でした」
——HRD SakuraでF1の開発指揮を執るようになって、浅木さんが気をつけたことは何ですか。
「まず、一度落ち着いていこうと。2017年までがダメだったことはやっていた当人たちもわかっていた。しかしだからといって、すべてを捨ててしまったら、またゼロからのスタートになってしまう。それでは、何年経っても追いつけない。一気に追いつこうと新しいコンセプトを導入すると、それに伴ってさまざまなトラブルが発生し、その対応に追われかねない」
「そこで、今あるものをベースにしたパワーユニットでまず戦い、その間に次の開発を行うことにしました。着実に進化させていったほうが、結果的に開発のスピードは上がります。このやり方の変更は、それなりに功を奏したと思っています」
——では、スペック1は2017年からの発展形だったわけですか。
「スペック1は2017年のキープコンセプトです。信頼性を高めたスペック1で序盤戦を戦っている間に、次の開発を進めさせていました」